「好きなもの……?」
「う、うん。なんでもいいんだ」
「その、もうすぐ誕生日でしょう?」
「大切なハニーのためだからどーんなニーズにも応えちゃうぜ」
正臣が爽やかすぎていっそ鬱陶しい笑顔で言ってくる。
そっか、私もうすぐ誕生日なんだっけ。
「本当になんでもいいからね、みょーじさん、いつも遠慮がちだし」
「でも、悪いよ……ほら、試験、近いし」
みんなでわいわいするのは昔から苦手で、思わず目を下方に反らす。
この3人組は、なんというか、すごく眩しい。
「ハニーのためなら例え火の中水の中、試験なんてどうでもいいね!」
「え、えっと……確かに試験は大事ですが、やっぱり大切な人の誕生日に何もしないのは」
ちょっと、と杏里ちゃんが少し恥ずかしそうに言う。
大切な人、かあ。やっぱりそう言われて悪い気はしない……というか、うれしい。
でも、正直今欲しいものなんて単位くらいだしな……夢がないなんて、今更。
「どうかな、何かある? あ、今すぐじゃなくてもいいんだけど」
「本当に、いいよ私は……それに、」
羞恥心にくらくらする。
「私、誕生日プレゼント、みんなとの時間で、いいから……」「!! なまえちゃんそれってつまり俺のこと」
「じゃあ当日はいつものメンバー呼んで、ちょっとしたパーティーでもしようか」
「あ、あり、がと」
「ふふ、楽しみですね」
恥ずかしい、けど。言ってよかったなあ。
こみ上げる照れ笑いを隠せずに、また少し俯きながらそう思った。そんな日常
アドレッセンチメートル
(題by sasakure-UK)
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