ゆるり、と目を開く。熱い瞳の奥と胸が、くすぶるように痛みを脳に伝達しているのがわかる。
目の前には白い天井と、心配そうな静雄の顔。
「おい、大丈夫か」
「……夢、見てた」
「、?」
静雄は私の突然の発言に少し狼狽える。
「本当のままでいられるのが、偽物の世界だけなんて」
「……俺は、おまえに嘘をついたりしないからな」
「うん」
全部。
嘘だったとしたらと考えると、私は怖い。そんなこと考えても何にもならないけど。それでも考えずにいられないのだ。
私は、偽りの中で生きているんじゃないか ?
「……信じなくてもいい、から」
「うん」
「俺はおまえが好きだ」
「うん」
「……、」
何が本当なのかわからない。何が嘘なのかわからない。
何か本当なのかわからない。何か嘘なのかわからない。
でも、それでも。
「静雄」
「、ああ」
今聞こえている声が、私に届いていることと、この温もりは、本当だから。
私はゆっくり彼に抱きついて、また自分を確認するのだ。
この温もりは嘘じゃないと、頷くために。
F.M.S.
(題by 36g)
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