「1+1が1−(−1)と同じであるように、俺と貴方の思いやら想いを巧く反転させれば例え貴方が俺を嫌いでも俺たちは巧くやっていけるのかもしれませんね」
「はあ?」
私はいきなり哲学モードになっちゃった遊馬崎を見て、ぽかんとなる。なるほどこれが巷で噂の折原病。因みにそんな病気はない。
「裏の裏は表ってことっす」
「裏の裏は表じゃなくて裏の二乗だよ」
「なんでっすか?」
哲学モードに便乗してみるが、私はそういうのは得意じゃないのでなかなか難しい。演出も兼ねてゆっくり喋る。
「二者択一だけで世界はできないよ」
「世界はいつも長く生きるか短く生きるかの選択っすよ」
「もう一個」
私は半ば遮るように言う。
「関係ない、も」
「……この会話は関係ないですねえ」
「うん」
「でも俺は貴方と一緒にいると心拍数上がるんで早死にしちゃいますね」
へらり、笑っているだろう彼の顔を私は直視出来なかった。
裏表ラバーズ
(題by wowaka)
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