昼休みを告げるチャイムが鳴り教室がざわざわしはじめた。
これはいつものことだが、なぜか廊下から黄色い歓声が聞こえてくる。

なんだろう、と疑問に思いつつも私には関係ないだろうと判断して、お弁当を片手に友達の机に向かう。

ガラリ、と私の教室の扉が開く音が聞こえ歓声がぴたりと止んだ。
不審に思い顔を上げると、嫌みなほどさらさらとした金糸が見え、紫瞳がこちらを見つめている。
歓声の原因はこの人か。

「……。」
「三蔵先輩…なにかご用ですか。」
「初めてno nameから話しかけられた。今日の星占いはいて座が一位か。」
そんなことは知ったことじゃあない。
そりゃ、こんなにじっと見つめられれば居たたまれなくなって話しかけもするだろう。

「で、なんなんですか。」
「no nameの体質は把握している。吐き気だろ。それなら胃が空っぽなときを狙えばいい。」

仮にも先輩に対する私の態度も大概だが、どや顔でいい放つ三蔵先輩が腹立たしい。
というか、そういう問題ではない。

「しかも、ちゃっかりお弁当持ってきてるし…。」
ここ借りるぞ、と宣言して私の前を陣取る先輩はもうてこでも動きそうになかった。



「おい八戒、なんで三蔵はこんな気持ち悪いほど機嫌がいいんだ。」
「no nameから話しかけてもらえて、しかも半ば無理やり一緒にお弁当を食べたらしいですよ。」
「no nameが不憫だな。」


本日の目標『話かけられる』…達成?


三蔵の場合2

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