―チョウジジム
ジムの中は氷の床になっていて、あちこち滑って転びながらジムトレーナーとバトルをした。そして寒い。
くしゃみをして身震いするとバクフーンが背中を撫でてくれた。進化してから私より大きくなって逞しく感じる。イーブイはボールから出てこの寒い部屋と氷の床が気になっていた。
「バクフーンありがとう。うぅ…上着もう1枚欲しい…。」
寒さに耐えながらジムトレーナーを全員倒してジムリーダーの元にたどり着いた。
「ポケモンも人も生きていると色々ある。 私も色々辛い事を味わった。人生の先輩としてそれを教えてやろう。君が生まれる前からポケモンと一緒にいる。おいそれと負けたりはせん。」
ヤナギさんはボールを構えたからバクフーンとアイコンタクトした。
「冬のヤナギと呼ばれるその実力、見せてやろうかの。」
ヤナギさんが投げたボールからパウワウが現れた。
「水タイプだけど大丈夫?」
『バゥ!』
バクフーンの瞳に宿る闘志、この気持ちに応えるバトルにしないといけないと自分を奮い立たせた。
「かえんほうしゃ!!」
「むぅ!これはなかなかな火力。じゃが…。」
水タイプのパウワウにはあまりダメージは与えられない。だけどそれ以外の何かがあった。
「あついしぼうでは無力だよ。」
「なるほどね…!」
高火力の炎タイプの技で押し切ろうと思ったけどそう簡単にいかなそうだ。
「こごえるかぜ。」
パウワウから冷たい風が吹き出された。氷タイプの技だからそこまでダメージは受けないけどバクフーンは少し嫌な顔をした。
「次はあられじゃ。」
「くっ…。」
見事にコンボを決められてしまって、フィールドにあられが降りだした。バクフーンにはあまり効かなくても蓄積されたら話は別。ふぶきを出されない事を祈りつつ、こごえるかぜで速さを下げられた分を取り返さねばと思った。
「ニトロチャージ!!」
炎を燃え上がらせ、体当たりをしてパウワウにダメージを与えた。 ニトロチャージで詰め寄った分、至近距離でスピードスターを放てた。
「スピードスター!」
「ほぉ。」
パウワウのこごえるかぜを当たりながら何度もニトロチャージで速さを戻しつつ、スピードスターで攻めてようやくパウワウを倒した。
次に出てきたイノムーは特性のゆきがくれでなかなか攻撃が当たらなかったけど、パウワウほど苦戦はしなかった。…でも、どろばくだんはかなり痛かった。
「ふむ……やるもんだの。」
最後の1匹、ジュゴンだった。バクフーンはどろばくだんで深手を負ったから交代してライボルトを出した。
「ジュゴンの特性もあついしぼうかもしれないから電気技で攻めよう!」
「ヤナギはしなやかで折れにくい。まだ諦めたりはせんよ。ジュゴン、こおりのつぶて。」
「10万ボルト!」
こおりのつぶてが先に当たったけどライボルトは気にせず10万ボルトを放った。
「オーロラビーム!」
「避けて距離を取ってかみなり!!」
ライボルトはオーロラビームを脚を掠めながら避けた。7つ目のジムなだけあってレベルも高く、技を避けきれる回数が減ってきた。
「ねむるで回復するかの。」
かみなりを耐えたジュゴンは『ふあぁ…』と欠伸をして眠った。
「回復されたけど全力で攻めれる!ライボルト、じゅうでん!!」
「そうはさせんよ。ねごとだ。」
ジュゴンからねごとのオーロラビームが放たれた。
「わっ危なっ!!」
眠りながらのオーロラビームだったから狙いが定まらずライボルトの横を通りすぎたけど、私はその通りすぎたオーロラビームを避ける羽目にあった。
「ライボルト、かみなり!」
バチバチと静電気を弾けさせながら威力2倍のかみなりをジュゴンに落とした。流石にジュゴンは目を覚ました。
「これはいかんな。こおりのつぶて!」
「目覚めのもう1発!10万ボルト!!」
10万ボルトとこおりのつぶてが同時に当たった。威力2倍のかみなりと目覚めの1発が効いてジュゴンは倒れた。
「ふうむ。策が尽きた……か。」
ヤナギさんは目を伏せてジュゴンをボールに戻した。
「うんうん。見事な戦いっぷり。その強い気持ちがあれば何があっても乗り越えていけるだろうよ。」
「強い気持ち、ね。」
これから何が起こるかわからない旅だけどヤナギさんの言う通り強い気持ちさえあれば乗り越えれる気がした。
「うむ!このバッジを持っていきなさい。」
ヤナギさんからアイスバッジをもらった。これであと1つ…!
「それからこいつは私からの餞別だよ。」
いつものジムリーダーからの技マシンをもらった。今更になってバッチケースと一緒に技マシンを入れるケースも出すようにした。
「そいつはあられ。しばらくの間あられを降らせ、氷タイプ以外のポケモンは辛い思いをするであろう!まさに冬の厳しさを感じさせる技よ。」
「ふぶきを確実に当てれますし氷タイプの恐ろしさを知りますね。」
「そうだな。氷と雪が溶ければ春になる…。君はこれから長い時間ポケモンと一緒に居られる。それを大切にな。」
「はい。ありがとうございました。」
ライボルトをボールに戻してチョウジジムを出た。
「んーっ!外が暖かい!!イーブイは寒くなかったの?」
『ブイ?』
何ともなさそうな顔をされたからあの寒さは平気だったんだと思った。
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