35.いかりの湖
 チョウジタウンを目指して歩いてる時にマツバさんに言われた事を思い出した。

「チョウジタウンにいるロケット団には気をつけろ、か…。そういえばヤドンの井戸で会ってからロケット団を見てない気がする。」

『ブィ?』

「アホ毛の赤髪と同じくらいかそれ以上に悪い連中の事だよ。」

そう考えるとチョウジタウンで久しぶりにロケット団に遭遇するという事になる。ランスのセリフも引っかかるから尚更嫌な予感がしてきた。考え事をしてるうちに忍者の里、チョウジタウンに着いた。

「ロケット団の事を考えていたらチョウジタウンが胡散臭い雰囲気がしてきた…。」

チョウジタウンに罪はない、ロケット団が悪い。ポケセンへ向かってるとヒビキ君を見かけた。

「あ、ヒビキ君!」

「ジルチさん!!ついにチョウジタウンまで来たんですね!今から怒りの湖に行くんですけど一緒に来ます?」

「怒りの湖?」

「湖に赤いギャラドスがいるらしくって見に行くんですよ!あと久しぶりにバトルしましょ!!」

色違いのギャラドスとは珍しい。色違いのポケモンはたまにいるらしいけど実物を見た事がなかったから気になった。

「行く!久しぶりのバトルいいね。あ、イーブイが新しく仲間になったの!」

歩きながら私の足元でヒビキ君の様子を伺っていたイーブイを抱えた。

「イーブイいいっすね!進化先決めてるんですか?」

「ううん。この子が進化したい場所、時、物が見つかるまで進化先は決まってないよ。」

海渡ったり草原を走ったりしたけどイーブイは進化する気配がなかった。

「こだわり深いんすね。あれ、ゲートに人がいる?」

ヒビキ君が気づいて私もゲートの方を見るとロケット団のしたっぱがいた。

「……まさか、怒りの湖のゲートにいるなんて…。」

「…引き返します?」

「ううん。行こう。」

ヒビキ君が耳打ちしてきたけど私は進む事にした。顔を見られないよう帽子を深くかぶった。

「おっとお子様達!こちらの通行料1,000円なっていますです」

「「高っ!?」」

高い、高すぎる。ヒビキ君と声揃えて言えるくらい通行料高かった。そもそもゲートに通行料がないのにお金を取るなんてロケット団はやる事が汚い。

「…でも怒りの湖のギャラドスが気になるから払うしかないよね…。」

「そうっすね。」

ぼったくりなゲートに通行料1,000円を払い、怒りの湖に着いた。確か怒りの湖はカントー、ジョウトの中で1番大きい湖だ。

「ジルチさん!湖の真ん中にいるのが赤いギャラドスです!」

湖の真ん中に赤いギャラドスが泳いでいたけれど違和感があった。

「何か様子がおかしい?ここからじゃ詳しくわからないな……。」

「そうなんですか?俺にはさっぱり…。 」

湖を渡って確かめたいところだけど今はヒビキ君とのバトルをしたかった。

「まぁいいや。ジム挑んだ後に調べてみるよ。さぁて、バトルしよっか!」

「育て屋さんで育てたんで昔みたいにこてんぱんにされませんよ!」

「どれぐらい強くなっか試させてもらうよ!」

マリルとイーブイがやる気満々で飛び跳ねている。

「マリル、まるくなる!」

「アイアンテール!」

耳をたたんで丸くなったマリルをアイアンテールでぶっ飛ばした。昔と変わらずぽよんぽよんと飛ばされていった。

「そのままころがる!」

尻尾をバネにして大きく跳ねてから勢いをつけて転がってきた。

「アイアンテールで止めてっ」

アカネさんのミルタンクより威力は低いはずだから受け止めようと思えばいけるはず。

『ブイ!!』

転がってきたマリルをイーブイは上からアイアンテールを叩きつけて回転を止めた。

「よくやったね、イーブイ!」

「さすがジルチさん…!マリル、みずでっぽう!」

みずでっぽうが当たってイーブイは身体を震わせて水気を飛ばした。

「マリルの攻撃力上がってるね!」

「そうっすよ。コガネ周辺でバトルしまくったんですから!」

「やるねぇ!イーブイ、シャドーボール!!」

「マリル、あわで迎え撃とう!」

シャドーボールとあわがぶつかったが威力はシャドーボールの方が上で、あわを消しながらシャドーボールはマリルに当たった。

「あっ!!」

そしてマリルは目を回して倒れてしまった。

「……ジルチさんみたく上手くいかないっすね。」

「技を技で打ち消すなら相手の威力を考えないと返り討ちに遭うよ。」

「ありがとうございますっ頑張ります!!」

ヒビキ君と握手して湖の近くで雑談をし始めた。

「研究にいたチコリータは俺が引き取りました!今は育て屋さんに預けてて、怒りの湖の赤いギャラドス見に行ったらコガネまで戻るつもりだったんですよ。」

「そうなんだ!そのチコリータと戦ってみたかったなぁ。チョウジタウンからコガネって頑張るね…。」

「メガニウムに進化したらジルチさんに挑みます!頑張らなきゃ一人前のトレーナーになれませんからね!マリルもそろそろ進化しそうなのでこの辺りでバトルしてこうと思います。」

「無理しすぎたらダメだよ?あ、元気の欠片とすごいキズぐすりあげる。それじゃそろそろジム挑んでくる!」

「ジルチさんもですよ!あとロケット団に気をつけてくださいよ?いってらっしゃい!!」

「バクフーンとライボルトで無双してくるっ」

「回復道具ありがとうございまーす!!」

私はチョウジタウンへ戻る為にぼったくりゲートへ向かってると、ヒビキ君の大きな声が聞こえたから手を振って返事をした。
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