24.好戦的な仲間
 コガネジムでかなり苦戦をしてしまったから、次のエンジュジムも厳しい戦いになるかもしれないと思った。

「…ジム挑む前に少し修行しよっかな。」

私はエンジュシティのポケセンで休憩をしながらコガネジムの出来事を思い出していた。賑やかなコガネシティと違い、エンジュは静かで古風な印象が強い。看板に書いてあった通り、昔と今が同時に流れる歴史の街だ。

「そういえば焼けた塔はエンジュジムの近くにあったような。」

ジム戦の後に焼けた塔とか行ってみようと思う。誰かが来るよう言ってたのとホウオウ伝説、ジョウトの三聖獣はここの焼けた塔が舞台だから気になっていた。

「んー…っ、行くかぁ。」

身体を伸ばしてそろそろエンジュシティ周辺のトレーナー達にバトルをしかけようと考えた。

「あれ?コガネにおったシャワーズの子やん!エンジュに来てたんやなー!」

「あ、イーブイ好きのお兄さん。」

話しかけてきたのはコガネシティで会ったイーブイ好きのお兄さんだった。また会うだろうと思ったらまさか次の町で会うとは…。

「ワイはイーブイ好きのお兄さんのマサキや。キミは?」

「ジルチです。シャワーズは元気にしてますよ。」

ほら、とボールからシャワーズを出した。シャワーズはマサキさんの足元に擦り寄った。

『キュルル!』

「いつ見てもべっぴんさんやぁ!舞妓さんのシャワーズもなかなかべっぴんさんやけどワイはジルチのシャワーズが好みやな。」

マサキさんはシャワーズを撫でながら褒めてくれた。

「ありがとうございます。あの…まいこさんって…?」

「なんや、舞妓さん知らへんの?エンジュと言えば舞妓さんやのにー!」

「す、すみません…。エンジュジムとホウオウ伝説の焼けた塔ぐらいしか知らなくて…。」

マサキさん曰く、エンジュシティはホウオウ伝説以外に舞妓や紅葉が綺麗、和菓子やお茶が1番美味しい、他の街にはない美しさがあるといろいろ教えてくれた。

「エンジュの紅葉はほんま綺麗やし凄いからちゃんと見るんやで!せや、あとジルチに頼もうと思った事あるねん。」

「何でしょうか?」

「この子やけどジルチに任せよう思てな。」

マサキさんはボールから1匹のイーブイを出した。イーブイは体を震わせて前脚を伸ばした。

「このイーブイをですか?」

「せやねん。この子はどうもこだわり深いんかしてどの進化の石を渡してもそっぽ向きよるんよ。」

「石で進化したくなかった…とか?」

「ワイもそう思って朝か夜に進化したいんやろかーって様子見てても進化する気ないみたいやし、ずっと外を見てるからこうして一緒に連れて歩いてたんやけどどーもピンときいひんみたいやねん。」

マサキさんの話を聞いていると膝をとんとんと叩かれたから下を見るとイーブイが私を見上げていた。キリッとした顔つきで毛並みが綺麗だった。

「見た感じジム巡りしながら旅しとるんやろ?」

「まぁそうですね。」

「やったらこの子をもっと広い世界見せてやってくれへん?一緒に旅してたら進化したくなる場所があるかもせえへんしな。そういう場所あるならワイも知りたいねん。」

「私で良ければ喜んでこの子と旅をします。イーブイが進化したくなる場所で進化したら大発見ですからね。」

イーブイは私の膝の上に乗ってきたから頭を撫でた。

「おおきに!これ、ワイの番号とイーブイのボールな。」

「こちらこそありがとうございます。これ、私の番号です。」

お互いに番号を登録してマサキさんはまたコガネに戻っていった。

「よろしく。イーブイ!」

『ブイ!!』

「ぐふっ」

イーブイは私のお腹にめがけて強烈なタックルをしてきて将来有望だな、と体感した。新しい仲間が増えたから一緒に修行しに私は番道路へ向かった。

 エンジュシティ周辺にいるトレーナー達とバトルをして数日が経った。お小遣いが貯まってきたから和菓子を買おうと思う。マサキさんから託されたイーブイは好戦的でエンジュジムでジム戦デビューしてもいいくらいだった。

「まさかシャドーボール、アイアンテール覚えてるなんて…意外だったよ。戦術も豊富だから嬉しいよ。」

『ブイ!』

イーブイはどんなもんだい!と胸を張った。初バトルの時にイーブイに任せると指示を出したところ、アイアンテール・シャドーボール・かみつく・でんこうせっかを使って上手く戦っていた。それも力と速さがマグマラシに並ぶくらいの実力を持っていて驚いた。

「マサキさんに気になって聞いたら家にいる他のブイズ達の技を見て覚えていたからどこまでその子の実力を発揮させるかは私次第って言われたよ。冒険して一緒に強くなろう!イーブイ!」

『ブーィ!』

イーブイがタックルをしてきたので私はタックルの勢いを流しながらイーブイを抱き上げた。

「ようやく君の動きを読めてきたからもう強烈なタックルを食らわないよ!…この先大変な事が多いかもしれないけど乗り越えなきゃね。」

イーブイは首をかしげたけどすぐ笑顔になった。あまり細かい事を気にしないタイプのようだ。

「よし、今日は休憩して明日ジムに挑もう!」

イーブイの他にライボルト達もバトルをして鍛えてきた。ライボルトはじゅうでん、マグマラシはニトロチャージ、シャワーズは技マシンでれいとうビームを覚えた。
次のジム戦でどう動くかはまだ決めてないけど、基本的に速さがある子で相手の前まで詰め寄って火力で倒す。この戦法はライボルト、マグマラシの担当。あとは回復ができて耐久力の高いシャワーズの持久戦の編成になっている。イーブイもアタッカーの戦法をやってもいいかなと思っていた。
私自身、長期戦や状態異常でじわじわと削られるのは大の苦手でむしゃくしゃしてしまう。

「ポケセンでゆっくり過ごそっと!」

ポケセンへ戻ると入口で金髪の男の人とすれ違って、何となく顔を見ると目が合って微笑まれた。どこかで会ったかなと思いながら軽く会釈をした。

「イーブイ、さっきの人見た事ある?」

『ブィ?』

イーブイは首を横に振った。

「じゃあ誰だったんだろ。会った記憶ないし…。」

知らない人に微笑むなんて愛想のいい人なんだろうと思い、ジョーイさんに手持ちを渡して回復をしてもらった。
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