22.商売繁盛の街
 ウバメの森を抜けた頃には夕日が沈みかかっていた。34番道路を歩いていると懐かしい声が後ろから聞こえてきた。

「ジルチさーん!」

後ろを振り返るとマリルを連れたヒビキ君が走ってきた。

「あっ!ヒビキ君久しぶり!」

「お久しぶりですっジルチさん!!これからコガネシティに行くんですか?」

「そそ!コガネシティで1泊してからジム戦挑んでまた次のジム目指すよ。」

「流石っすね!時間があったらコガネ百貨店とラジオ塔行ってみてください。いろんな物売ってますし、ラジオカード貰えるんですよ!」

「ラジオカード?」

「ポケギアの拡張カードでポケギアでラジオ聴けるようになるんですよ!あ、確かジルチさんポケギア持ってますよね?番号教えてください!」

ヒビキ君がポケットからポケギアを取り出したので私もポケギアを出した。

「ん、登録したよ!これ番号。」

「ありがとうございます!何かあったりバトルしたくなったら電話かけていいですか?」

「いいよ!それじゃあね、ヒビキ君。今日コガネシティに着いたら百貨店行ってみるよ!」

「はい!俺はしばらくこの辺りでバトルしてます!」

ヒビキ君と別れて夜にコガネシティへ着いた。今まで行った町と違ってここは高いビルが建っていて大都会だった。

「シャワーズ見て!人がいっぱいで建物の光がすっごく綺麗!」

私は初めての都会に感動して、シャワーズは私の肩まで登ってきて景色を見ていた。夜だと電光掲示板がキラキラ輝いてて綺麗だった。

「おっ嬢ちゃんのシャワーズえらいべっぴんさんやな!!」

「!?」

後ろから知らないお兄さんに話しかけられてビックリした。

「ありがとうございます。旅立ちの日に友達からイーブイを譲ってもらって、別の友達から水の石をいただきました。」

「ほぉ〜そうやったんか!イーブイ好きとしてそれは嬉しい話やわ。大切にしてな、ほな!」

イーブイ好きのお兄さんは街の人混みの中に消えた。

「そう言えばグリーンから貰ったイーブイって、元はオーキド博士の知り合いにいるイーブイ好きの友人から譲って貰ったって言ってたっけ…。」

さっきのイーブイ好きのお兄さんがその人と同一人物かはわからないけどまた会えそうな気がした。
中心街にあるポケセンに行って手持ちの回復、部屋の確保をしてからヒビキ君オススメのコガネ百貨店へ行ってみた。

「小さい頃ホウエンのデパート行った事あるけどここも凄い広い!」

場所がどこだったか忘れたけど、カントージョウトの旅が落ち着いたらホウエンへ里帰りして、そのデパートへ行こうと思った。

「閉店前のタイムセール開始ー!今ならこの商品が30%OFFやでー!!」

「えぇ…っ!」

夜なのに百貨店の中は人がたくさんいる理由がタイムセールだった。人混みに埋もれながら商品を見たり、人の流れに流されながら2階に上がった。
すごい傷薬を4つ買って、屋上の憩いの広場でシャワーズと一緒にサイコソーダを飲んでいた。

「本当に賑やかな街……。」

”貴女1人が邪魔をしても私達の活動は止められやしないのですよ。これから何が起きるか怯えながら待っていなさい!”

「………。」

ふと、ランスが立ち去り際に言った言葉を思い出した。

「何が起きるか、か…。」

確かに私だけでどこまでロケット団を止める事が出来るかわからない…。だけど当時のレッドも同じだったと思うし、仲間を信じて奴らに立ち向かって勝った。私もレッドと同じように仲間を信じて立ち向かおう。

「ふぅ…。遅くなってきたしポケセンへ戻ろうか。」

『キュルル!』

残りのサイコソーダを一気に飲んで、もやもやした気持ちを流し込んだ。
ポケセンで借りた部屋に戻って明日の支度をして、皆をブラッシングしながら明日の予定を伝えた。

「明日はラジオ塔に行ってラジオカード貰いに行こっ。その後ジムに挑んでからエンジュに向かう。マップを見た感じだとそう遠くないみたいだし、ジム戦が早く終われば昼ぐらいに着きそうだから一緒に頑張ろう!」

3匹は一鳴きして応えてくれた。

「うん!じゃあおやすみ。」

部屋の電気を消して私達は一緒に眠った。
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