ヒワダジムの中は虫をイメージしたギミックで流石歩く虫ポケ大百科と言われるだけはあった。それにジムトレーナーの双子ちゃんには恐れ入った。正式なダブルバトルをしたのは初めてで中々面白かった。
ジムのギミックを楽しみながらジムトレーナーとバトルをしてジムリーダーの元に辿り着いた。
「僕ツクシ!虫ポケモンの事なら誰にも負けないよ!なんたって将来は虫ポケモン研究で偉い博士になるんだから!…というわけで、僕の研究成果見せてあげるよ」
「バトル!!いくよっマグマラシ!」
私は前夜に決めた通りにまずはマグマラシで攻める事にした。そしてツクシさんが出したポケモンのストライクを見た瞬間、私は過去の記憶がフラッシュバックした。
「……ストライク!ロケット団…、お母さん…!!」
私はあの時の光景を思い出し、冷や汗をかいて動けなくなってしまった。マグマラシは私の様子がおかしい事に気づいて近づいてきた。
『クルルル!』
マグマラシは身体が硬直してしまった私に頭突きをしてきた。
「………っ!!マグマラシ、ごめんね…前向いて進むと決めたのに、ね……。」
冷や汗を服の袖で拭いてもう一度ストライクを見た。
大丈夫、あのストライクとこのストライクは違うと無理矢理思い込んで前を向いた。
「マグマラシ…勝つよ!!かえんぐるま!」
「とんぼがえり!」
ストライクのとんぼがえりとマグマラシのかえんぐるまがぶつかりあった。お互いキツい一撃を与えてフラついたものの、ストライクはとんぼがえりの効果で別のポケモンに入れ代わった。
「ダメージを与えれたのはいいけど無傷のポケモンと入れ代わられると辛いな…。大丈夫、マグマラシ?」
『クルル!!』
「うん、無理はしないでね。相手がトランセルとはいえ…手強いと思う。一気に決めよう。」
「よーし!トランセル、いとをはく!」
「何としても素早さは下げさせない!かえんぐるまで焼き払って!」
マグマラシのかえんぐるまで糸を焼いて素早さを下げられずに済んだ。その後はえんまくとスピードスターのコンボで攻めてトランセルとその次に出てきたコクーンを倒した。
「マグマラシ、ありがとう。ストライクはライボルトに任せて。」
『クル!』
マグマラシをボールに戻してライボルトを出した。
「あのストライクの物理攻撃が強いし、速さはライボルトと五分五分かもしれない。短期決戦でいこう!」
「最後の1匹になっても虫ポケモンはしぶといよ!」
ジムトレーナー相手にライボルトのかえんほうしゃはちゃんと効いたけど覚えたばかりで精度が微妙だった。ジムリーダーに通用するかどうかで勝負が決まる。
「ライボルト、10万ボルト!」
「ストライク、きあいだめだ!」
10万ボルトが当たってもストライクはびくともしなかった。
「ストライク!でんこうせっか!!」
ストライクのでんこうせっかは急所に当たり、ライボルトは突き飛ばされたけど地面に爪を立てて踏ん張った。いつもより気合いが入っているからライボルトも同じように過去の出来事を思い出していたかもしれない。
「ライボルト!!」
ライボルトは私の方に振り向いて頷いた。
「大丈夫!ライボルトは強いから自信を持って!!かえんほうしゃ!!」
ライボルトから放たれたかえんほうしゃがストライクを飲み込んだ。
「……(これで決まってくれたらいいんだけど……)」
かえんほうしゃの中からきのみをくわえたストライクが出てきた。
「あれはオボンの実…!!」
「よく耐えたストライク!いい傷薬を使わせてもらうよ!」
ツクシさんはいい傷薬を使ってストライクの体力を回復させた。ほぼ振り出しに戻ったから長期戦になるのを覚悟した。流石にこっちも傷薬を使わないと不利になると思い、鞄を漁るとライボルトに吠えられた。
「回復しなくていいの…?」
『ワウ!』
ライボルトの瞳はいつもに増して自信に満ちていた。
「そうか、私の言葉を信じているんだ…!ライボルト、かみなり!」
「でんこうせっかでかわすんだ!」
次々と襲いかかるかみなりをストライクはでんこうせっかで避けていってライボルトに詰め寄った。
「よし!ほうでん!!」
ライボルトから体毛に貯めていた電気をフィールド全体に解き放った。ストライクはほうでんが当たり、動きが鈍くなった。
「今だ!かえんほうしゃ!!」
再びかえんほうしゃがストライクを飲み込んで、少し焼けたフィールドにはストライクがかえんほうしゃに耐えきれず倒れていた。
「うーん、ここまでか……。」
「…勝った!」
結構ごり押しをしてしまい、ライボルトにはかなり無茶をさせてしまった。そして私の中のストライクに対するトラウマは相当なものだったとわかった。
「2匹ともお疲れ様。」
「あーあ…僕の研究もまだまだだ!うん!わかったよ。このバッジを持っていってよ!」
私はツクシさんからインセクトバッジをもらった。
「ありがとうございます。」
「それとこれを持っていって!技マシン89の中身はとんぼがえりだよ!この技を使ったポケモンは攻撃した後、手持ちのポケモンと入れ代わる!どう?すごいでしょ!?」
「この技でちょっと苦戦しましたよ…。」
「だね!そう言えばストライクを見た時の君は顔を青ざめてたけどどうしたの?」
ツクシさんはストライクを見た時に私が顔を青ざめてたのを気にしたようだ。
「いえ…ちょっと昔の事を思い出しただけです。」
「そうなんだ。それじゃ、お疲れ様!」
「はい、お疲れ様です。」
私はヒワダジムを出て、今日中にコガネシティを目指す前にポケセンへ戻っていった。
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