19.ヤドンの井戸
 ガンテツさんの後を追いかけてヤドンの井戸まできた。梯子があったから下に降りるとガンテツさんが座り込んでいた。

「おうジルチか。上で見張ってた奴は大声で叱り飛ばしたら逃げよったがな……。わしは井戸から落ちてしもて腰を打って動けんのじゃ。」

「大丈夫ですか…?」

ガンテツさんは痛そうに腰をさすっていた。

「くそう……元気ならわしのポケモンがちょちょいと懲らしめたのに……。まあええ、ジルチ!わしの代わりにトレーナー魂を見せるのじゃ!」

「トレーナー魂を見せれるかわかりませんが、ロケット団をヤドンの井戸から追い出させます!!」

私はマグマラシを出してヤドンの井戸にいるロケット団を探し始めた。しばらく中を歩いていると腰をさすっているロケット団のしたっぱを見つけた。

「畜生、上で見張っていたのに何だあのじいさん。いきなり大声出すから驚いて井戸に落ちてしまった…。」

どうやら上で見張ってたしたっぱらしい。まずは1人目と思いながらそのしたっぱに近づいた。

「ロケット団!ヤドンの井戸から出ていってもらう!」

「何だお前!えーいっ憂さ晴らしにお前をいじめるとするか!」

したっぱvs私のバトルが始まったがマグマラシのかえんぐるまであっという間に終わった。

「井戸から出ていって!ヤドンの尻尾を切って売りさばくのやめてくれる?あと目障り。」

「チッ…金儲けのためなら何でもするならロケット団さ!」

「……。」

『クルッ』

マグマラシに腰にたいあたりをしてもらって悶えるしたっぱを放置して捜索を開始した。井戸の中にはヤドンがたくさんいて全員尻尾を切られていた。

「酷い事をするね…。」

私はしたっぱを見つけてはバトルして倒していると団員は男だけかと思えば女性の団員もいた。女性の団員から聞いた話だと、どうやらヤドンの尻尾を切るよう命じたのはランスという人物らしい。
私はひたすらしたっぱを倒す作業をして、ランスという団員を探しているうちに一番奥にたどり着いた。そこには他のしたっぱと違う雰囲気がある緑髪の男がヤドンの尻尾を切っていた。

「…ランスという団員はお前か?」

ランスと思われる団員は静かに立ち上がって私を見た時、とても冷たい瞳をしていたから私は寒気が一気にきて鳥肌が立った。そして団員が否定しなかったのでこの男がランスで間違いないだろう。

「何ですか?私はロケット団で最も冷酷と呼ばれた男……。それに団員ではなく幹部です。それとも私に捕まりに来たのですか?ジルチ。」

今更ロケット団の団員だろうが幹部だろうが私の名前を知っていても動揺はしない。目の前の敵を倒す、それだけだ。

「そんなわけないでしょ!!私はこの悪行を止めに来た!」

「私達の仕事の邪魔などさせはしませんよ!貴女を倒してロケット団の物にします。」

ロケット団幹部、ランスとのバトルが始まった。

「…絶対に倒す!マグマラシ、スピードスター!」

スピードスターは繋がりの洞窟で覚えた技。本来ならえんまくと組み合わせるけど、今回はロケット団が相手でバトルしてる最中に何されるかわからないから自分の身も守らなくてはならない。周りに警戒しながらマグマラシのバトルを指示を出していた。

『クルル!』

流石必ず当たると有名なスピードスター、洞窟内を飛び回るズバットに命中した。

「なかなかやりますね。ズバット、きゅうけつ。」

ズバットがきゅうけつで噛みついてきて血を吸われたマグマラシは顔をしかめた。

「かえんぐるまで引き剥がしてからひのこ!」

マグマラシはかえんぐるまで転がってズバットを引き剥がし、すかさずひのこを放った。地面に何度も当たったズバットは飛ぶ力がなくなって地面に落ちた。

「貴女もそうですがどこの街にも私達に逆らう奴はいるのですねえ……。」

ランスはドガースを出した。毒には気をつけないと逆転されかねない。

「悪い事したら逆らうのが普通でしょ?だからロケット団の邪魔をさせてもらう。」

ドガースがたいあたりしてたけどマグマラシは簡単にかわした。

「…それにしても貴女は我々に狙われている立場だというのによく邪魔しにきましたね。」

「メソメソ泣きながら隠れて生活するなんて私の性に合わないし、立ち向かえるくらい強くなるだけ!」

マグマラシのかえんぐるまが決まってドガースは倒れた。ランスはドガースをボールに戻して腕組みをした。

「……まだ子供だと侮っていたらなんという事……。貴女はあの時より強くなったというわけですか。」

「もっと強くなって復活したロケット団をまた壊滅させる。」

「……ふふん。貴女1人が邪魔をしても私達の活動は止められやしないのですよ。これから何が起きるか怯えながら待っていなさい!」

ランスは不適な笑みをして立ち去っていった後にガンテツさんが駆けつけてきた。

「ようやったな。ロケット団の奴ら逃げていきおったわい。腰の具合もよくなったし、わしらも帰るとしようぞ。」

「そうですね。ヤドン達は尻尾以外大丈夫そうですし帰りましょう。」

私達はヤドン達を井戸から町に連れ出してガンテツの家へ戻った。ガンテツさんは座布団の上にどっかりと座ったので私は向かいに座布団を置いて座った。

「おう、ジルチ。見事な働きやったな!ロケット団がまた復活してるとはなんとなーく悪い予感がするのう…。」

「ありがとうございます。そうですね…他の街にもロケット団が潜んで活動してる可能性がありますね。」

「うむ、それはともかくジルチ。わしはお前さんが気に入った!お前さんの為なら喜んでボールを作らせてもらうわい!今、手元にあるのはこれだけやけどとりあえず持ってけ!スピードボールや!」

「おぉ、ありがとうございます!今ぼんぐり何個か持ってるので早速ボールを作ってくれませんか?」

「おおっ!よっしゃボール作ったるわ!」

わたしはぼんぐりケースからみどぼんぐりを6個ほどガンテツさんに渡した。

「ボールにするまで1日ほどかかるからのまた取りに来るがええぞ。」

「わかりました。ジョウトのジム一通り攻略したらまた来ます。」

ぼんぐりケースを鞄の中に入れて立ち上がると女の子が近くまでやってきた。

「そうだ!おじいちゃんの電話番号、教えてあげるよー?おじいちゃんにお電話すれば、ぼんぐりのこと教えてくれるよー。」

「ありがとう。ボール取りに行く時に連絡するね。」

「うん!」

話を聞くとこの子はガンテツさんのお孫さんで彼女から電話番号を聞いてポケギアに登録した。

「さてと。ジムの入り口に立ちふさがっていたロケット団もいなくなったと思うので、そろそろジム戦に挑みます。」

「おう!ジルチならすぐ勝てそうやな!」

「ふふふ、マグマラシとライボルトでちょちょいのちょーいです!いってきます!」

「おねえちゃん、バイバーイ!」

お孫さんに軽く手を振って、私はヒワダジムに向かった。
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