18.ヤドンのしっぽ
 アルフの遺跡で奇妙な体験をして、自分の故郷について考えながらヒワダタウンへ向かう事にした。

「水の都の巫女…。」

謎の声は私がのちの水の都の巫女として、知るべき過去と言って両親が拐われる場面を見せてきた。今後の私に関して何か手かがりになるとしたらエンジュシティに向かうのが正解だと思った。

「その前にヒワダジムとコガネジムがあるからバッチ集めを優先しよっと。ヒワダタウンに向かうには…繋がりの洞窟を抜けなきゃ!」

タウンマップを鞄に入れて繋がりの洞窟を目指した。道中のトレーナーはマグマラシとライボルトで倒していくとポケセンが見えてきた。

「ポケモンセンターへようこそ!」

「ポケモンの回復をお願いします。」

「かしこまりました!」

万全な状態で洞窟に入って、トレーナーや野生ポケモンと戦って手持ちを鍛えようと考えていたから洞窟の手前にポケセンがあって助かった。
そして、繋がりの洞窟に入って数時間後ー

「嘘…迷った…!!」

道はややこしくないと聞いていたから大丈夫と思っていたけど、野生ポケモンとバトルしているうちに進む方角を間違えていた。

「シャ…シャワーズ……!どうしよ…!!」

『キュル…』

持っているランプも消えかけて、本当にどうしようと狼狽えていたらマグマラシとライボルトのボールが揺れた。

「え…マグマラシ…?ライボルト…?」

2匹を出すとマグマラシは周りを明るくする為に首元の炎を強く燃やし、ライボルトは私達の前に出て近づいてきたズバットに威嚇の電撃を放った。

『ワウ!』『クルルッ』

「俺達についてきな!」と言わんばかりな2匹に頼もしさを感じた。

『キュール』

「皆…!ありがとう…!!」

途中で道に迷って泣きそうになったけど、3匹のおかげで洞窟から出れてやっとヒワダタウンに到着した。空を見上げれば夜になっていて星空が広がっていた。
先導してくれた2匹にお礼を言ってボールに戻した。

「あー疲れた!!まずはポケセン行って泊まろう!寝よう!服洗いたい!!」

『キュ!』

洞窟内でお互い土まみれになり、シャワーズに言いたい事を言ってポケセンへ向かった。ヒワダタウンは町にヤドンたくさんいて、ヤドンの伝承的なものがあるくらいだった。

『やぁん?』

ポケセンのカウンターにヤドンが寝転がっていて、目が合うと情けない声を出して首をかしげられた。

「夜遅くにすみません。ポケモンの治療と一泊するので部屋を貸してください。」

「かしこまりました。ボールとトレーナーカードお預かりしますので少々お待ちください。」

手持ちのボールとトレーナーカードをジョーイさんに渡して椅子に座った。少しの間、近くにあった雑誌を読んでいるとジョーイさんに呼ばれてカウンターへ向かった。

「ポケモンの治療終わりました!こちらが部屋の鍵です。長旅お疲れ様でした。」

「ありがとうございます。」

私は部屋の鍵を受け取って、初めてポケセンに泊まるから内心ワクワクしていた。
部屋に着いて早速持っていた服を全部洗濯機に入れてシャワーズ達と一緒にお風呂に入った。備え付けにバスローブもあってサイコソーダを飲みながら明日の予定を考えていた。

「明日はジム戦してウバメの森を抜けよう。その前にガンテツって人に会って、持ってるぼんぐりでボールを作ってもらおうかなー。ヒワダジムは虫ポケモンのジムだからマグマラシ主軸で戦術考えよう…っと。」

鞄の中にあるぼんぐりケースや技マシンを入れた箱を出しているとライボルトがボールから出てきた。

「ん?ライボルトどうしたの?」

ライボルトは技マシンの箱を器用に開けて1枚の技マシンをくわえていた。

「これは…かえんほうしゃの技マシン?ライボルト…かえんほうしゃ覚えるの?」

『ワウ!』

「そうだ」とライボルトは吠えた。炎技が1つでも使えたら戦術は増えるなと思い、かえんほうしゃの技マシンをライボルトにかざして、しばらくすると満足げにすり寄ってきた。

「ライボルト、ありがとう。明日のジム戦よろしくね。」

ライボルトの頭を撫で終わるとライボルトは自らボールへ入った。

「今回はマグマラシとライボルト主軸でいこう!ライボルトのかえんほうしゃがどんなものか試してないからジムトレーナーとバトルする時に試し打ちしてみよっと。…それじゃ皆、おやすみ。」

私は鞄の中の道具を整頓して、洗濯物を干してから眠った。

翌朝、干した服をたたんで鞄の中に入れてガンテツさんへ会いに行こうとポケセンを出た。その前にジムの場所を確認しようと思い、町を歩くと違和感を感じた。

「昨日の夜までたくさんいたヤドンが減ってる?何匹かいても尻尾が切られている…。」

ヤドン達は尻尾の先がなくなっていても気にもしてないようだった。妙だな…と思ってジムの近くまできて入り口に立ちふさがる人物を見て驚いた。

「ロケット団…っ!?」

どういうわけだかロケット団がジムの入り口に立っていた。私はその場を引き返してロケット団について何か知ってないかと思い、ジムの近くにあるガンテツさんの家へ向かった。

「おう、お前は誰や?」

「突然お邪魔してすみません。私はジルチと申します。」

「そうかジルチいうんか。ボールを作ってほしいんか?悪いがそれどころちゃうんや。」

「…ロケット団ですか。」

「知っておるんか。3年前に解散したはずなんやが……。とにかく、そいつらが井戸でヤドンの尻尾を切っては売りさばいとるんや。」

「ヤドンの尻尾を…?」

「だからわしが行ってちとこらしめたるんや!よーし!待ってろヤドン!男ガンテツが助けたるぞ!」

そう言ってガンテツさんは家を飛び出して行ってしまった。

「え、ちょ、ガンテツさん!?」

1人でロケット団を相手するのは危ないと思って私もガンテツの後を追った。
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