14.自慢の鳥ポケモン
 ハヤトさんに治療してもらった後、バトルの事をたくさん話せて凄く楽しかった。いただいた羊羮が控えめな甘さでお茶によく合っていたから心とお腹が幸せに満たされた。
あのバトルでハヤトさんが何が起こるかわかった瞬間の表情を見た時に「よっしゃ!決まった!!」と心の中でガッツポーズをしていた。
その場で考えた策が上手くいって、マグマラシもよく動いてくれたからすごく感謝した。ジム戦用のポケモンといえど手強く戦い甲斐があった。

「……(確かあの2匹ってハヤトさんのお父さんが育てたと言ってたっけな…。あ、そういえば)」

ここに来る前にハヤトさんが自慢の鳥ポケモンを見せると言ってたのを思い出した。

「ハヤトさんの自慢の鳥ポケモンってどんな子がいるんですか?」

「!!」

"自慢の鳥ポケモン"と言った瞬間、ハヤトさんの顔が輝いたような気がした。

「そうだった!君に見せてやろうと思ってたんだ!早速練習場に行こう!」

ハヤトさんが勢いよく立ち上がり、襖を開けると満面の笑みで手招きをした。私も立ち上がってハヤトさんとその練習場へ向かった。

「ここが練習場だ。」

「わぁ…!」

練習場は鳥ポケモンが自由に動けるように天井がとても高く、室内が広く造られていた。ハヤトさんは6つのボールを投げると6匹の鳥ポケモンが出てきた。

「こいつらが俺の自慢の鳥ポケモンだ。」

ピジョットとヨルノズク、名前を忘れたけどホウエンに住んでた時に見た事がある口が大きい鳥ポケモンと…あとの3匹は見なれない鳥ポケモンだった。

「ムクホーク、ペリッパー、ドンカラス、ヨルノズク、オオスバメ、ピジョットだ。どうだ?カッコいいだろ?」

あの口が大きいポケモンはペリッパーだと思い出した。どの鳥ポケモンも胸元がもっふりしていて、もふも………かっこよかった。

「かっこよくて逞しいですね。」

「そうだろ?君はものわかりがよくて助かるよ!世間は電気タイプでいちころだから弱いだなんて言うんだ!あの時……1匹でも持っていたら外へ吹き飛ばされも平気だったんだが…。」

「確かに彼らなら平気ですね。身体つきがとても丈夫ですから。」

飛行タイプは氷もダメだったようなと思いながら1番もっふりしてそうなドンカラスを撫でた。

「…そう言えば君の手持ちに電気タイプがいなかったか?なぜバトルに出さなかったんだ?」

電気タイプの話の流れで私の手持ちに電気タイプのライボルトを思い出したようだ。

「あー…マグマラシとシャワーズに任せようと思ってて、もし2匹で戦って敵わなかったらライボルトを出すつもりでした?」

腰にあるライボルトの入っているボールを撫でて昔の事を話した。

「…昔、オーキド博士の庭にいたポケモンをいじめていたオニスズメの集団を追い払う為にラクライで攻撃した事があります。ハヤトさんの電気タイプでいちころの話を聞いて少し申し訳なくなったのが本音ですけどね。」

「なるほど、そうだったか。でも俺達はそれでやられるほど柔じゃない。ジルチ、君の旅が落ち着いたらまた再戦してくれないか?今度はこいつらで相手してやるよ!」

「喜んで!!それまで私も鍛えますね!えっと…これ、私の番号です。」

「ありがとう。俺も負けるわけにはいかないな。…登録したよ。俺の番号はこれだ。」

お互いにポケギアの番号を登録していつか再戦する約束をした。これでまたバトルする約束をしたのは3人目で再戦できる日が楽しみだ。
足元にいたシャワーズが眠そうに欠伸をしているのを見て、ポケギアで時間を確認したら21時ぐらいだった。

「明日朝早めにジムに来ます。ジムの入り口で待ってて大丈夫ですか?」

「ん?しばらくここで泊まらないのか?」

「え?ポケセンで部屋を借りて泊まるつもりでしたが…?」

旅をするトレーナーのほとんどはポケセンで無料で使える部屋を借りるか野宿をする。私もできる限り移動して町にあるポケセンで泊まるよう心がけるつもりでいた。
しかし、ハヤトさんは真顔のまま私の顔をじっと見ている。

「え、いや、傷の手当てといい、さすがにそこまでお世話になるわけには…!」

「2度も君に命を救われたし、ジムの修理手伝ってくれるならこれぐらいもてなすよ。それにまだロケット団がキキョウシティのどこかに潜んでいるかわからないからさ。」

「……。」

ロケット団の件はハヤトさんの言う通りだった。ポケセンとはいえ、安全かどうか言われると正直初めて泊まるからわからない。それなら信用できる人がいる場所に泊まるのが一番だろう。

「…ハヤトさんがそう言うのなら……お言葉に甘えてもいいですか?」

「うん、構わないさ。」

私の返答にハヤトさんは満足げな顔をして頷いた。
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