マダツボミの塔とジムが見える場所にハヤトさんの家はあった。
「お邪魔します。」
「どうぞ、部屋で待っていてくれ。救急箱を取ってくる。」
客間に案内した後、ハヤトさんがそう言って部屋を出ていった。家の中は和風な造りになっていて居心地が良かった。
「ワカバタウンはそうでもなかったけど、キキョウや他の街ってそういう造りが多いのかなー?」
シャワーズは畳の触り心地が気に入ったらしく、私より寛いでた。マダツボミの塔も木造建築で機械や科学に囲まれた生活をしていた私には新鮮に感じた。
「……。」
木のいい香りがしてマサラタウンと違った和やかな雰囲気があって少しずつ気持ちが落ち着いていった。
「あ、そうだ。今のうちにオーキド博士に連絡しよう。」
帽子を脱いでキュロットスカートのポケットに入れていたポケギアを取り出し、登録したオーキド博士に電話を掛けた。
「もしもし?ジルチです。」
[おぉ!ジルチちゃん!!久しぶりじゃ。元気にしておったか?]
「えぇ、一応。今朝旅に出て、今キキョウシティにいます。それで1つ目のバッチ手に入りました。」
[それはそれはいい事じゃ。……ウツギ君から事情を聞いておるよ。シズクさんの事は残念じゃと思ってるし、ジョウトで1人旅してる君が心配じゃよ…。]
いつも元気なオーキド博士の声が寂しげだった。
「…すみません。実は今日のジム戦後に私を狙ってロケット団が乗り込んできました。追い払う事に成功しましたが…そういえば、カントーで活動していたロケット団って解散したんですよね?」
[ふむ…君の力を使って何か悪い事を企んでいるようじゃな。そうじゃ。レッドがロケット団のボス、サカキと戦って勝った時にサカキが解散宣言したんじゃからな。]
「レッドがロケット団を壊滅させたんですか!?」
まさかロケット団の壊滅をレッドがしたと思わなくて大声を出してしまった。
[…ジョウトじゃ少年が壊滅させたとしか伝わってないからのぉ。その後、サカキは行方不明なったわけじゃが幹部達はサカキの復活を願って行動しているらしい。]
「そうですか…。ところでレッドとグリーンは今どうしていますか?」
ロケット団のボスは行方不明、ボス復活の為に私を利用しようとしている可能性が出てきた。ロケット団つながりでレッドが話題に出たから今2人がどうしているか気になった。
[レッドはグリーンに勝ってチャンピオンになったが数ヶ月後、チャンピオン辞退してシロガネ山でずっと修行してるそうじゃ。グリーンは…トキワジムのジムリーダーになったよ。]
3年ちょっとの間に2人はリーグを制覇して許可された人しか入れないシロガネ山で修行したり、ジムリーダーになっていて、流石だなと負けてられないなと思った。
「……(そう言えば…レッドとの約束はどうなるんだろ?リーグ制覇したらシロガネ山に行けばいいのかな?)」
[ジルチちゃんも負けてられんな!]
「そうですね!やっぱり2人は強いから私も負けてられないです。キキョウジムの修理が終わったらヒワダタウンで2つ目のバッチ目指します。」
[負けず嫌いなところは相変わらずのようじゃな!図鑑はどんな感じになったかの?]
オーキド博士の笑い声が聞こえてきて私も少し笑いそうになった。
「まだワカバタウンからキキョウシティの周辺までしか調べていませんが、昼夜で活動時間が違うポケモンが多いようです。カントーで生息が確認されたポケモンもちらほらいますね。」
[ふむ、順調のようじゃな!頑張るんじゃぞ。あまり無茶はせんようにな?]
「はい、頑張ります。それでは…。」
一通りの報告を終えて一段落がついた。ポケギアをポケットの中に入れて、今回のバトルの反省点を考えた。
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