ジョウトへ引越して3年ほど経ち、ジルチはシズクの研究を手伝いながら手持ちを育てていた。
その結果、ヒノアラシがマグマラシに、イーブイを水の石でシャワーズに進化したが…ラクライは、ラクライのままだった。
『……』
周りが進化していくのを羨ましそうに見ていたラクライをジルチは頭を撫でて慰めた。
「ラクライの進化は次で最後って図鑑に書いてたから特殊な道具で進化するシャワーズや3段階進化があるマグマラシより時間がかかるんだと思う。だから落ち込まないで?」
『クゥー…』
「そうだ。マグマラシとバトルしよ!私の勘だけどもうすぐラクライは進化できそうな気がするの!特訓!特訓!落ち込んでたままじゃ前に進めないし進化できないよ!」
慰めの言葉をかけてもラクライは落ち込んだままでジルチは部屋の扉を開けてラクライを外へ誘った。
『……!』
ジルチの熱い想いにラクライはこのままじゃダメだと思い、頷いて扉へ向かった。
「研究も進んできたし、ジョウトの生活も慣れてきたからそろそろジム戦の旅に出よう!そうと決めたらお母さんに話さなきゃね。」
ベッドに置いてた手持ちのボールをベルトに装着してラクライと一緒に外へ出た。研究所の前の広い場所でマグマラシのボールを投げて、次にシャワーズを出した。
「シャワーズは観戦ね。」
『キュルッ』
シャワーズの頭を撫でてラクライとマグマラシに向かって話しかけた。
「ラクライ!マグマラシは前より火力と防御が上がってるよ!全力でかかってきて!」
『ワゥ!』
「マグマラシ!ラクライは進化前といえど雷の威力は上がってきてるし、速さはマグマラシよりある!レベルはラクライの方が上だから油断しないでよ?」
『クルル!!』
2匹はジルチの話をよく聞いて頷くとラクライは電気をバチバチ鳴らし、マグマラシは首元にある炎の火力を上げた。
「お互いの技をぶつけ合い、避けて小さな隙を見逃すな!始め!!」
2匹の全力の戦闘とそれぞれの行動を指示しながら観察をしているジルチを遠くから見つめる黒服の男達がいた。
「……ターゲット2の確認。」
「母親は相変わらず研究所にいるようだ。まず娘を狙うか?」
木々に隠れて双眼鏡でバトルに夢中になっているジルチを見ながら男達は話していた。
「そうだな…。3匹のポケモンが邪魔だが俺達が支給されたポケモンでなんとかなるだろ。所詮子供のポケモンだ。そこまで強くないだろ。」
「でもあの娘って、ポケモンの技が使えるんだろ?大丈夫なのかよ?」
「その為のこの装置だろ?まだ試作品らしいが…。」
1人の男が持っていた袋からリング型の機械を取り出した。
「確か…ポケモンの動きを制御する装置だったな。効果があれば安全に娘を連れていける。」
「上手くいかなかったら?」
「…随分と心配性だな。多少怪我を負わせても構わないから生け捕りにしろとランス様が仰ってたからそうする。」
「了解。多少暴れても大丈夫そうだ。ここが人の少ない町でよかったぜ。」
「といっても暴れて大事にはするなよ?後始末が面倒だからな。…では、作戦開始だな。」
男達は双眼鏡をしまうとボールを片手に構え、研究所の前でポケモン達と特訓しているジルチに近づいた。
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