翌朝、ポケモン図鑑とボールを持って29番道路へ行った。草むらに行くとジョウトのポケモンやカントーでも見たポッポやコラッタもいて、途中で飛び出してきたポケモン達をヒノアラシとイーブイで戦った。
「あの可愛い子はオタチで、あの鳥ポケモンはホーホーなんだ?夜行性のポケモンは朝と昼は寝てるんだね。」
図鑑を片手に辺りのポケモンを見て歩いていた。ヨシノシティの手前まで来て引き返すかそのまま進むか考えていた時、ゲートから出てきた目つきの鋭い赤髪の少年と目が合った。
「……何見てんだよ。」
「いや、別に…?」
赤髪の少年は私の足元にいる2匹を見て舌打ちをし、不機嫌そうにわたしの横を通りすぎていった。
「…何だったんだろ?ヨシノシティのポケセンに寄って近くにいそうなトレーナーとバトルして帰ろっか。」
『ヒノ!』『ブイ!』
2匹は元気な返事を返してわたし達はヨシノシティに向かった。
「ポケモン達は元気になりましたよ。」
「ありがとうございまーす!」
ヨシノシティのポケセンで手持ちのポケモン達を回復してもらって、30番道路にいるトレーナーとバトルした。ほとんど虫ポケモン使いでヒノアラシで連勝していった。
「えへへ!私の勝ちー!」
「強すぎー!」
もうちょっと探索しようと少し奥へ行くと民家が見えてきて、家の隣に見た事のない木の実が成っていた。
「マサラタウン周辺じゃ見た事ない木の実だ…。食べれるのかな?」
木の実をまじまじ見ているとおじさんが家から出てきた。
「お嬢ちゃんはぼんぐりを初めて見るのかい?それはぼんぐりと言ってな。モンスターボールを作る為の原料なんだ。」
「木の実でモンスターボールを…?」
「そうだよ。よかったらぼんぐりケースあげるからそこにあるぼんぐり持っていって構わないよ。」
おじさんはポケットからぼんぐりケースを取り出してわたしに渡した。
「それでこのぼんぐりはどこでモンスターボールにしてくれるのですか?」
「確か…ヒワダタウンのガンテツさんの家だったかな?」
ヒワダタウンはウバメの森の前にある町で虫タイプのヒワダジムがある。わたしはジム戦に挑戦した後に寄ってみようと思った。
「ヒワダジムに挑戦した後に寄ってみます。」
「おぉ、バッチを集めるのか!あと、この家の先にポケモンじいさんの家があるからもし興味があったら行ってごらん。」
「ポケモンじいさんの家かぁ…。ジョウトのポケモンについて知りたいので行ってみます。ぼんぐりケースありがとうございます!!」
ぼんぐりおじさんにお礼を言って、ぼんぐりを2こほど採ってから少し歩くと家が見えてきた。
「ここがポケモンじいさんの家…。」
ドアをノックして中へ入るとそこにはポケモンじいさんともう1人、わたしのよく知っている人がいた。
「あっ!オーキド博士!!」
「おぉ!ジルチちゃんじゃないか!元気そうでなによりじゃ。と言って2日ぶりかの?」
「そうですね!!」
ポケモンじいさんの家にまさかオーキド博士がいるとは思わなかったから2日ぶりの再会でも嬉しかった。
「おや、博士、知ってる子ですかな?」
「そうじゃ。この子は2日前までわしの研究所の隣に住んでた子でポケモンが大好きでな、わしがジルチちゃんにジョウトに生息するポケモンのデータを集めてもらうのを頼んだのじゃ。今はウツギ博士の研究所に住んでおるんじゃったかな?」
「そうです。お母さんがウツギ博士と一緒にポケモンの卵について研究をしています。」
「ほぉ…ポケモン進化の研究をしているウツギ博士と一緒にとは素晴らしい事だね。ところで君のお母さんの名前は?」
「シズクです。」
お母さんの名前を聞いてポケモンじいさんはしばらく考えたあと、思い出したかのように話し出した。
「…あぁ!ホウエン地方にある遺跡の暗号を解いたと有名な彼女か!!彼女は暗号という暗号をほとんど解き明かして、考古学やポケモンの研究をかじってる人なら1度は名前を耳にするよ。」
確かにお母さんはいろいろ研究したり調べたりしてるのは知っていたけど、まさかここまで有名だったとは知らなかった。
「なるほどなるほど、彼女の娘さんかぁ…!ジルチちゃんだっけ?君も暗号の類いが好きだったらアルフの遺跡に行ってごらん。あそこは暗号と石版があるんだ!」
「暗号と石版ですか!」
ポケモンじいさんは目を輝かせながらアルフの遺跡の事を教えてくれた。わたしはお母さんの影響で暗号を解く事に興味はあった。
「そのアルフの遺跡はどの辺りにあるのですか?」
「36番道路の隣だよ。キキョウシティが近くにあるよ。」
「キキョウシティと言えばキキョウジムがあるからジム戦の後に寄ってみるのもいいかもじゃな!そうじゃ、ジルチちゃんにいい物をあげよう。」
オーキド博士は部屋の奥へ行くとすぐ戻ってきて、片手には見慣れない機械を持っていた。
「2台も貰ったのじゃ。1台はジルチちゃんにあげよう。」
渡されたのはポケモン図鑑より小型の機械だった。
「こいつはポケギアといって、番号を登録するとお互い遠くにいても会話ができる優れものじゃ。わしの番号を登録してあげよう。」
「ありがとうございます!遠くにいても会話ができるって便利ですね。」
「そうじゃろ?レッド達はまだポケギアを持っていないと思うが番号がわかったらジルチちゃんに教えてあげよう。」
「はい!」
「それじゃあ、わしはコガネシティのラジオ番組に出るからそろそろ行くかの。ジルチちゃん、旅に出たらバッチ集め頑張るんじゃぞ?」
「頑張ります!」
オーキド博士は出ていく際にわたしの頭を撫でていっ。何だか嬉しくてすぐにこの事をお母さんに報告したくなった。
「それじゃあ、わたしもそろそろ行きます。アルフの遺跡のこと、お母さんに話してみます。」
「おぉ、よろしく頼むね。また遊びにおいで。」
「お邪魔しました。」
ポケモンじいさんの家を出て貰ったポケギアを握りしめた。
「いい物もらっちゃった!日が沈んできたし、そろそろ帰ろっと!」
わたしは帰ったらアルフの遺跡の事とオーキド博士からポケギア貰った事を話そうと思って、29番道路から全力疾走で家へ向かった。
「お母さーん!ただいまー!!」
扉を勢いよく開けて資料を抱えているお母さんの元へ駆けつけた。
「おかえり、ジルチ。何だか嬉しそうね?」
「うん!ポケモンじいさんの家に行ったらオーキド博士に会ったの!それでね!ポケギアもらって、ポケモンじいさんから暗号と石版がいーっぱいあるアルフの遺跡のこと聞いたの!」
「オーキド博士とは2日ぶりの再会かしら?ポケギアって遠くにいる人と話せる小型の機械よね?ウツギ博士も持っているわよ。アルフの遺跡は1度行った事あるわ。研究の息抜きに暗号を解読しているから読んでみる?」
お母さんに本日1番の出来事を一気に話した分、一気に返された。ポケギアの事を話していたらウツギ博士が片手にポケギアを持ってきた。
「ポケギア持ってるの?番号登録する?」
「します!」
早速ポケギアにウツギ博士の番号を登録しているとお母さんはアルフの遺跡の資料を取ってきてくれた。
「これ、アルフの遺跡の資料。そこで研究してる方からアンノーンノートを貰ったの。ジルチが旅に出た時、遺跡の近くにある研究所へ立ち寄ったら?面白いわよー!」
楽しそうに語るお母さんから資料を受け取ってパラパラとページをめくると、アンノーンというポケモンが遺跡の暗号を解く鍵である可能性・石版は完成させると昔のポケモンの形になる・遺跡の場所によってアンノーンの出現する形が違う。
「……。(遺跡の意味とアンノーンの事以外ほとんどわかってきてるじゃん)」
その心を見透かしたかのようにお母さんは目をそらしながら話した。
「…今朝、私が行った時に石版があった遺跡1ヵ所完成させてきたの。残りの遺跡は洞窟経由だったり、湖渡ったりしなきゃいけなかったからそのまま帰ったのよ。」
お母さんは早朝のうちに出かけて必要な情報を集めてすぐ帰ってきたらしい。
「もし、ジルチがアルフの遺跡に興味があったらこの石版と暗号の解読の続きしてくれないかしら?」
「いいの?」
「もちろん!だって私の娘なんだから絶対解き明かすと思うし、ある程度分かってきてると言ってもほんの一部だから調べる事は山のようにあるわ!いい結果が出るのを楽しみにしているわ!」
少し興奮気味なお母さんはわたしの肩をバンバンと叩いて別の研究の続きをする為に本棚の奥へ消えた。
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