晩御飯を食べ終わって部屋へ入ろうとした時にお母さんに呼び止められた。
「昼間、ウツギ博士がジルチにって渡してくれたの。」
お母さんは少し古ぼけた冊子を私に渡した。ちょっと力を入れたらページが外れそうだから気をつけながら表紙を見た。
「…"森の神様の伝説"?」
わたしは何かの伝承かなと思い、冊子をめくってみるとそこにはセレビィについて書かれていた。
「これ、セレビィの事が書いてある!」
「そうよ。私も読んでみたけど面白かったわ。」
「ありがとう!明日ウツギ博士にお礼言うね!」
「うん。読んでて夜更かししたらダメよ?」
「わかってる!おやすみ、お母さん!」
わたしは部屋に入って早速1ページ目からちゃんと読み始めた。
[森と共に生き、そこに住む者達は森を大切にしてきた。
ある日、森に穢れが溢れ、民は穢れを抑える為に祈りを捧げた。
そしてその民達の元に1匹のポケモンが現れた。
そのポケモンは森の中を飛び回ると穢れた森が徐々に浄化されていった。
浄化された森を見てポケモンは綺麗な音と共に姿を消した。
民達はそのポケモンに感謝し、森の神様の祠を建てた。
浄化された森は平和と美しさを永遠に保った。]
「…その森が今のウバメの森の可能性がある、…か。」
冊子の最後に真新しい付箋があってこの伝承の解説が一部書いてあった。
「ウバメの森って…ヒワダタウンの隣にある大きな森だっけ…?」
壁に貼ってあるタウンマップを見て、ウバメの森はヒワダタウンの隣にあるのを確認した。
「コガネシティのジムを目指すのに通るからその時に祠を探してみようかな?花の冠のお礼をもう1度言いたいし。」
んーっと背伸びをしてベッドに寝転がった。ちょっと身体を起こせばドアに飾ってある花の冠が見える。あの冠はドライフラワーにしても花の色は褪せず、綺麗なままだった。
「明日は29番道路にいるポケモンを調べながらヒノアラシとイーブイの特訓しよっと。よろしくね、2匹とも!」
机に置いてある2匹のボールに話しかけるとカタカタと揺れて反応があった。
「それじゃあ、おやすみ。」
お母さんに言われた通りに夜更かしする前に電気の紐を引っ張って暗くした後すぐに眠った。
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