10.3匹のポケモン
 ジルチ達がマサラタウンに引っ越して数年経ち、レッドとグリーンは10歳になってオーキド博士からポケモンを貰った。研究所の外では子供達の声がいつもより賑やかに聞こえるのもそれが理由だった。

「ヒトカゲ!たいあたり!」

「ゼニガメっ避けてひっかくだ!」

レッドとグリーンは貰ったポケモンで早速バトルをしていた。2人も知識がある為かお互い譲らない攻防戦が続いている。

「2人ともがんばれー!」

ジルチは2人のバトル観戦しながら応援をしていた。少し前に誰が誰とバトルするかで悩んで、じゃんけんで勝った者同士戦って勝った方がもう1人とバトルする事に決まった。

「そういえばジルチはじいさんからポケモンもらわなくてよかったのかよ?」

グリーンがバトルしながら研究所でジルチがポケモンをもらわなかったのが気になった。

「うん。わたしはこの子がいるから。」

ジルチは小さな鞄から白いボールを取り出した。

「おっ?それ、何が入ってるんだよ?」

「グリーン、よそ見しながらバトルだなんて余裕があるの?ヒトカゲ!そのままたいあたり!」

ヒトカゲがゼニガメに向かってたいあたりをした。

『ゼニ!』

「しまっ…。」

グリーンの指示が遅れ、ヒトカゲのたいあたりが命中してゼニガメは気絶した。

「勝者!レッドくん!」

「レッドてめぇ!」

「バトル中によそ見する方が悪い。」

「まぁまぁ。はい、きずくすり。」

「お、おぅ…サンキュ。お疲れ、ゼニガメ。」

「ありがとう、ジルチ。ヒトカゲお疲れ様。」

喧嘩しそうな勢いだったグリーンをなだめながらジルチは2人にきずくすりを手渡した。

「で、ジルチ。何のポケモンが入ってるの?」

レッドもその白いボールの中身が気になって聞いてきた。

「引っ越す前の地方で会った子なの。紹介するね!出てきて、ラクライ!」

ジルチがボールを投げるとラクライが出てきた。

「かっけぇ!何ポケモンなんだ!?」

「女の子だから可愛いポケモンが出ると思ったら…カッコいいポケモンだ。」

2人は初めて見るポケモンに興味津々だった。

「ラクライって名前で、稲妻ポケモンの電気タイプだよ!」

ジルチはラクライの説明をして、レッドはラクライの顎を撫でてグリーンはとがった体毛を触っていた。ラクライは2人に撫でまわされて満足そうだった。

「電気タイプかぁ…グリーンが戦ったら負けるだろうね。」

「うっ…それを言うなよ…。」

仮にレッドのヒトカゲに勝ってもジルチのラクライとは相性が悪く、戦いたいけど負ける可能性が高いからグリーンはもっと強くなってから戦おうと思った。

「さぁラクライっ初バトルだよ!」

「もう一勝負だ!ヒトカゲ!」

2匹のポケモンがバトルの体勢に入り、レッドとジルチのバトルが始まった。

「いくよ!ラクライ、たいあたり!」

「ひっかくだ!」

ラクライがたいあたりをすれば、すぐにヒトカゲのひっかいてきた。
レッドとジルチのバトルは先ほどのグリーンとのバトルと同じような攻防戦を繰り広げていた。

「ヒトカゲ、ひっかく!」

「避けて!たいあたり!」

「ヒトカゲ!次はひのこだ!」

「っ!お返しだよっラクライ、スパーク!」

「おぉ…すっげぇバトルだ…。」

観戦しているグリーンはそのバトルに見入っていた。
ヒトカゲはスパークを受け麻痺状態に、ラクライはひのこで火傷状態になった。お互いの体力が限界に近づいて次の技が決まれば決着がつきそうだった。

「頑張ってラクライ!たいあたり!」

先に動いたのはジルチのラクライだった。

「ヒトカゲ、もう一押しだ!ひのこ!」

たいあたりで近づいたラクライはヒトカゲに当たる前にひのこが命中した。

「あ!」

そしてラクライは地面に倒れ、ヒトカゲが勝った。

「勝者!レッド!お前らすげぇバトルだったな!!」

「お疲れ様、ラクライ。」

『ワゥ…』

「よくやった、ヒトカゲ。」

ジルチは悔しそうな顔をするラクライを抱えてながら慰め、レッドは勝って喜ぶヒトカゲを褒めて2人は2匹にきずくすりを使った。

「うん、レッドくん強かった!またバトルしようね。」

「ジルチも強かったよ。またしよう。」

「ジルチ!今度オレとバトルしようぜ!」

「うん!グリーンくんに負けないからねっ」

「おぅ!かかってこいっ」

「頑張ろうね!ラクライ!」

『ワゥ!!』

3人はまたバトルをしようと話していたら研究所の方から拍手が聞こえてきた。

「なかなかいいバトルじゃったなぁ!」

「あ!オーキド博士!」

「君達3人と3匹がとても楽しそうで何よりじゃ。記念に写真を撮ってみんかの?」

オーキド博士の後ろにいた女性の研究員が笑顔でカメラを持っていた。

「撮ろ!撮ろ!」「いーじゃん!」「そうだね!」

それぞれのポケモンを抱え、ジルチは真ん中で左右にはレッドとグリーンが研究所の入口に並んだ。

「じゃあ撮るわよー!はい、チーズ!」

シャッターを切るのと同時にオーキド博士が何かのポケモンのモノマネをして3人を笑かした。

「じいさん、何だよその顔!」

「「あはははっ!」」

「何ってベロリンガのモノマネじゃよ?」

「博士…っ舌を出してるだけじゃ…っよくわかりませんよっうふふふっ!」

「そうかのぅ…。」

オーキド博士は渾身のモノマネが通じなくて少し落ち込んでしまった。その後、3人は夕方までポケモン達と追いかけっこやかくれんぼして遊んだ。


「じゃーな!ジルチ!」

「バイバイ、ジルチ。」

「またねー!レッドくん!グリーンくん!」

夕方頃、パートナーとなったポケモンにいろんな事を話したり、走って家に帰ったりといつもと違う帰り道だった。
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