いつからジルチの事が好きになったのか、もしかしたらあの日助けてもらった時に一目惚れしてたのかもしれない。
だけど、この想いに意識したのはつい最近の事でずっと今日のように2人で遊びたいと思っていた。
「……。(そういえば10歳になったらポケモンをオーキド博士からもらって、ぼくはチャンピオンを目指して旅に出るけどジルチはどうするんだろ?ぼくと一緒に旅に出れたらいいな。でもグリーンと同じように競い合いたい)」
隣で眠るジルチを見てレッドは自分の胸に手を当てた。
「……。(この想い、ジルチに伝えたい…でも今じゃない)」
レッドがひたすら考え事をしていたらいつの間にか日が沈みかかっていた。
「…そろそろ帰らなきゃいけない時間だ。」
まだ気持ち良さそうにお昼寝をしているジルチを起こす事にした。
「ジルチ、もうそろそろ時間だよ。」
ジルチの肩を揺さぶってると寝ぼけた顔がレッドを見上げた。
「ん…レッド、くん………?……はっ!わたし寝ちゃってた!?」
ジルチはバッと飛び起きて目が覚めた。いきなり飛び起きたからピカチュウ達も何事かと思い、ほぼ同時に飛び起きた。
「うん、寝転がったあとすぐに。」
「ごごご、ごめんっ!レッドくんと遊んでるのに寝ちゃった!!」
「いいよ、気持ち良さそうに寝てるジルチの寝顔見れたから。」
少し意地悪っぽく言うとジルチは顔を真っ赤にして手で隠した。
「うわぁあっ!恥ずかしい!」
「そんな恥ずかしい?」
「もちろんっ」
ジルチがそっぽ向くと膝にあるレッドの上着に気づいた。
「…これ、レッドくんがかけてくれたの?」
「そうだよ。」
「レッドくん…ありがとう。」
ジルチの頬はまだ少し赤いけどレッドの方を向いて上着を渡した。受け取った上着を着てレッドは立ち上がった。
「どういたしまして。帰ろっか。」
レッドは座っているジルチに手を差し伸べた。
「うん!帰ろうっ」
ジルチは笑顔でレッドの手を取った。それだけでもレッドの心は満たされて踊りそうになった。
「ばいばい!ピカチュウー!」
「また今度。」
『ピッピカチュウ!!』
2人はピカチュウ達と別れて、オーキド博士にお礼を言ってから研究所を後にした。
「家まで送るよ。」
「え、いいの?レッドくん帰る時間遅くなっちゃうよ?」
「ぼくは大丈夫。」
家まで送りたいのは本当。だけど少しでも長く手を繋ぎたかったのもあった。
「本当にありがとう。」
「いいよ。それに今日誘ってくれてありがとう。」
「えへへっ嬉しいな。」
ジルチの家は研究所の隣だけど少し距離はあって、2人が着いた頃には空は茜色になっていた。
「送ってくれてありがとう!夕方になっちゃったけど本当に大丈夫?」
家に着いたから少し名残惜しいと思いつつ繋いでた手を離した。
「うん。ここからならそんな遠くないから大丈夫。心配しないで。」
「そっか…また遊ぼうね!ばいばい、レッドくん。」
「またね、ジルチ。」
ジルチは家の扉を開けて中へ入っていった。レッドは最後まで見届けた後、繋いでた手をグッと握りしめて家の方角へ歩いていった。
「今日は本当にいい日だった。帰ったら母さんに何か話そうかな。」
空を見上げると一番星がキラキラと輝いていた。
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