ピカチュウのほっぺを存分に堪能してると、時間はちょうど正午ぐらいになったから2人はお昼ご飯を食べる事にした。
「ピカチュウたちにはこのきのみをあげる。」
ジルチの手には桃色のきのみが2つあって、ピカチュウ達は受け取って嬉しそうに食べ始めた。
「ぼくらも食べよう。」
「うん!弁当箱の中身が気になるからねーっ」
ジルチはレッドが弁当箱を包みから出すのをずっと眺めていた 。彼が弁当箱の蓋を開けるとおにぎりが複数と玉子焼きが入ってた。
「わぁ!美味しそう!」
「うん、ぼくもそう思う。それじゃ…。」
「「いただきまーす」」
レッドは初めにおにぎりを食べた。中には梅干しが入ってて、いつも通り酸っぱいと思うけどそれが美味しいのだ。ジルチもおにぎりを食べてて同じく中身は梅干しだったようで…凄く酸っぱそうな顔をしていた。
「ふぉ〜…すっぱい…っ!でも美味しい…!!」
「ありがとう、母さんに言っておく。すごく酸っぱそうな顔してるけど大丈夫?」
ピカチュウ達はジルチの顔を見て首を傾げていた。
「うん、大丈夫っ!レッドくんは平気なの?」
ジルチは少し涙目になりつつ次は玉子焼きを食べようとしていた。
「まぁ…少しは。(なぜ梅干しを入れたんだ母さん)」
レッドもこの梅干しの酸っぱさはあまり慣れていない。ジルチと同じく口直しに玉子焼きに手を伸ばした。
「むまっ!この玉子焼き美味しい!ほんのり甘いっ」
おにぎりに続いて玉子焼きも好評だった。家庭によって入れるものの違いが出る玉子焼き。レッドの母親の作る玉子焼きは少し甘いものだった。梅干しの他におかか、プチトマトが入ってて2人はおにぎりの中身を楽しみにしながら食べた。
そして弁当箱が空になった後、ジルチの持ってきたクッキーを食べていた。
「味、どうかな?」
ジルチが少し不安そうに聞いてきた。
「うん、美味しいよ。甘さがちょうどいい。」
「よかった!」
レッドの感想を聞いてパッと明るい顔になった。ジルチの表情がころころ変わるのを見る好きで、その明るい顔を見たレッドもつられて笑顔になった。
「「ごちそうさまでした。」」
レッドの母親のクッキーを別に分けて弁当箱と一緒に包んだ。
「お腹いっぱい!ちょっとゆっくりしよっとー…。」
ジルチはその場で寝転んだあとピカチュウ達も彼女の傍で寝転がった。
「ぼくも寝転がるかな。」
レッドも真似してその場で寝転がった。草が柔らかくて痛くなく、隣の大きな木が影になって眩しくないし風が心地いい。
「すー…すぅ…。」
「ん?ジルチ…?」
寝転がってから静かだと思っていると、ジルチは眠っていた。レッドは起こすのも悪いと思って、着ていた上着をそっとかけてジルチの寝顔を見た。
「………」
レッドは可愛いな、と思ってジルチの頭を撫でた。
「ぼくは、ジルチのことが好きだ。」
ぽつりとジルチに対する想いを呟いた。その想いは春風と共に吹かれて空へと消えた。
_9/74