幼い女の子が怪我をして気絶しているポケモン抱えて両親の元へ走ってきた。
「おとーさん!おかーさん!このポケモン、ケガしてる!」
「あら、いろんな所を怪我をしてるわね…。診せて?治してあげる。」
「ラクライ、か。この辺りに生息しているポケモンじゃない。元の生息地から移動してきたかトレーナーに捨てられたか、だな…。」
「すてるなんてヒドイ!」
「まだ捨てられたと決まったわけじゃないから安心して?」
母親がラクライの治療をしてる間に父親と少女はラクライの話で盛り上がっていた。
「おとーさん。このこ、ラクライってなまえのポケモンなのー?」
「そうだよ。稲妻ポケモンと呼ばれてて、見た目は薄い緑色だけど、進化するとライボルトになって水色と黄色の体毛になる。特攻と素早さがある電気タイプのポケモンさ!」
「わぁー!カッコいいね!」
「それで特性の避雷針は電気タイプの技をー」
「あなた語りすぎよ。」
父親の歯止めが利かなさそうな話を治療を終えた母親が制止した。
「ある程度の傷は傷薬を塗って包帯を巻いたわ。まだ目が覚めてないから一旦ポケモンセンターに預ける?」
「そうする!おきたらそのラクライとおともだちになりたい!」
「友達、か。じゃあミナモシティのポケモンセンターに行こうか。」
「うん!」
3人はラクライをミナモシティのポケモンセンターへ預けに向かった。
ミナモシティに着いてすぐ、ポケモンセンターへ向かった。
「121番道路で怪我をしたラクライを娘が助けて、私が応急措置したのですが…目が覚めたら連絡もらえますか?」
「かしこまりました。では、ラクライをお預かりしますね。」
母親がジョーイさんにラクライを預け、ポケナビの番号を伝えた。
「ラクライ…だいじょうぶかな?」
「ジョーイさんに預けたから大丈夫さ!連絡がくるまでミナモデパートで待ってようか。」
「うんっ」
ラクライの事が心配で不安そうな表情をするジルチを見た父親はしゃがんで頭を撫でながら励ました。
ポケモンセンターの近くにあるショッピングモールへ着くと母親とジルチは5階へ、父親は別の階へ買い物をしに行った。
「おかあさん!このぬいぐるみもかわいい!」
「ピカチュウのぬいぐるみね。アチャモも可愛いけど…どのコにする?」
ミズゴロウやピッピのぬいぐるみが並ぶ棚を見てジルチは1つのぬいぐるみを選び取った。
「ピカチュウにするっ」
「ピカチュウに決定ね!」
いくつかのぬいぐるみの中でジルチはピカチュウドールを選んだ。
「お買い上げありがとうございました!」
買ったばかりのピカチュウドールを抱えて母親と歩いていたところ別の階にいた父親と合流した。
「あなたその紙袋…何を買ったの?」
「まぁ…きずくすり10個とかいろいろ……かな?」
「……(いろいろってそんな大きな紙袋になるぐらい一体何買ったのかしら…)」
散財は避けてほしいと思っているとポケナビの着信が鳴った。
「ーはい、わかりました。すぐそちらに行きます。」
「ポケセンから?」
「えぇ、ラクライが目が覚めたって。」
「ほんと!?すぐいこ!」
ジョーイさんから連絡を受け、3人はポケモンセンターへ戻ると、ジルチは受付にいるジョーイさんの元へ走っていった。
「ジョーイさんっラクライげんきになった!?」
「えぇ!怪我も治って充分動けるくらい元気になりましたよ!」
『ワゥ!』
傷はすっかり消えてラクライは元気そうに一吠えした。
「ありがとうございました。」
「ジョーイさん、ありがと!!」
「よかったねっジルチ!」
『ワゥ!ワゥ!』
ラクライがカウンターから飛び降りてジルチの足元に座った。
「ジルチに助けてくれたお礼を言ってるよ。」
「そうなの?」
『ワゥー!』
ラクライは感謝の意を込めてまた一吠えした。
「どういたしまして。そうだ!ねぇ、ラクライ?わたしとともだちになってほしいの!」
『ワゥ!』
ラクライはもちろん!と言わんばかり吠えた。
「えへへ。きょうからともだちだねっこれからもよろしくね!」
ジルチがそう言うとラクライは彼女のほっぺに頬擦りをした。ラクライとジルチがじゃれあってると父親が買い物袋から白いボールを取り出した。
「よし、ジルチとラクライの友達なった記念にこれをあげよう!」
「おとうさん、これなーに?」
「プレミアボールだ。性能はモンスターボールとほぼ変わらないが、ラクライを中に入れる事ができる道具だ。真ん中のボタンを押してからラクライに当ててごらん?」
「そうなんだ!ラクライ、ボールにはいる?」
ジルチは父親から受け取ったプレミアボールをラクライに見せた。
カチッー
するとラクライは何も言わず前足でボタンを押し、自らボールに入った。
「わぁ…すごぉい!」
ジルチはポケモンがボールに入る瞬間に感動して受付のジョーイさんにラクライとともだちなったよ!!と言いにいった。
「自らボタンを押すとは…ラクライはジルチの事を気に入ってるようだ。」
「そのようね。助けられた恩を必ず返す、という意志を感じる目をしていたわ。」
「あぁ、この子にとっていい友達できたな。これからもいろんな出会いや出来事があるかもしれないが…きっと大丈夫だろう。」
「えぇ…大丈夫、だよね。」
2人は大喜びをしているジルチを見てこの先の未来に希望がありますように、と願った。
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