02.新たな出会い
 引越し作業を終えて、段ボールで散らかしていた部屋を片づけた。開けていた大きな窓から景色を見ると、遠い方角に古い建物や森が見えた。

「……。」

今頃レッド達は1個目のバッチを手に入れてるのかな、みんな元気にしてるかなと考えていたら下から声が聞こえてきた。

「おーいっ!!キミ、ウツギ博士の研究所に引越した子ー?」

「ちょっとヒビキ君!そんな大声出したら近所迷惑よ!?」

窓から下を見ると青色の丸いポケモンを連れた男の子と白い帽子を被った女の子がいた。

「そうだよー!今そっちに行くねー!」

わたしは下にいる子達に返事をしてから部屋を出て1階に降りると、お母さんが白衣を着て研究に取りかかろうとしていた。

「ジルチ?どこか行くの?」

「外にいる男の子と女の子と話してくる!」

「わかった。いってらっしゃい!」

「いってきまーす!」

ジルチが研究所を出たのを見てウツギ博士は微笑んだ。

「ヒビキ君とコトネちゃんだね。」

「知ってるのですか?」

「研究所の近くに住んでる子達なんだ。ジルチちゃんと歳が近いと思うからすぐ仲良くなると思うよ。」

「そうでしょうね。あ、早速バトルしてるみたいですね。」

外から子供達の声とポケモン達が戦っている音がしてきた。楽しげな声を聞いてシズクはカントーに居た頃を思い出した。

「引越す前は友達とバトルしたり、野生ポケモンとバトルしたり、いつもバトル三昧かポケモン達と日向ごっこしてました。」

「バトル三昧って…じゃあ旅に出たらジムに挑戦してチャンピオンリーグへ行くつもりかい?」

「えぇ。友達とリーグで再会する約束したそうなので。ここの生活が落ち着いたらジョウトのポケモンを観察しながらジム戦に挑むと言ってました。」

シズクは微笑みながらポケモンの卵について書かれた資料を読んでいた。

「それはいい目標のある旅だね!ジルチちゃんならあっという間に行けそうだ。」

ウツギ博士は本棚から本をいくつか取り出して机に置いた。ふと、本棚の端にある古ぼけた冊子を見てある事を思い出した。

「そういえば…ジルチちゃんがセレビィを見たんだっけ?」

セレビィと聞いてシズクは一瞬?が浮かんだが、船で「あの時会ったポケモンはセレビィっていう子なんだって!」と目をキラキラさせながら言ったジルチを思い出した。

「オーキド博士の庭で会って、その時に花の冠を貰ったと言ってました。幻のポケモンと知った時は驚きました。」

「オーキド博士から聞いた時は僕も驚いたよ!それでこの冊子に古い記録だけどセレビィについて書かれてあるんだ。ほとんど伝承みたいなものだけどジルチちゃんに渡してくれないかな?きっと喜ぶと思う。」

「わかりました。ジルチの為にありがとうございます。私も後で読ませてもらってもいいですか?」

「もちろんさ!ここの本は君達が自由に読んでもいいんだから許可なんて要らないよ?それに後でじゃなくてもいいんだよ?」

「ふふふ、そうでしたね。」

シズクは少し笑ってセレビィの伝承について書かれた古ぼけた冊子を開いて読み始めた。
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