船から降りてからまたトラックで移動して、わたし達は予定通りの昼すぎにワカバタウンに着いた。トラックから降りると、研究所らしき建物から白衣を来た眼鏡のお兄さんが出てきた。
「ジョウトのワカバタウンへようこそ。僕はウツギ。ここでポケモンの研究をしてるんだ。よろしく!」
「初めまして、シズクと申します。オーキド博士研究所でポケモンや古代の文明について研究をしていました。ポケモンの卵の研究でこれからお世話になりますのでよろしくお願いします。」
ウツギ博士とお母さんが握手をしているのを隣で見ていたらウツギ博士と目が合った。
「君がジルチちゃんかな?オーキド博士から聞いてるよ。ポケモンが大好きなんだってね。」
「はい、大好きです!ジョウトにはどんなポケモンがいるのですか?」
ワカバタウンに来る途中で、カントーにもいたポッポやコラッタ達を見かけたからわたしはジョウトのポケモンを早く見てみたかった。
「それじゃあジルチちゃんに引っ越し祝いでこの3匹の中から1匹プレゼントするよ!みんな、出ておいで!」
ウツギ博士は白衣のポケットから3つのボールを出して上へ投げると弾ける音と共に3つの白い閃光が足元に集まった。そこには頭に緑色の葉っぱが生えたポケモン、水色でキバが鋭いポケモン、背中に炎が燃えているポケモンが現れた。
「この子達はジョウトの御三家、冒険へ出る子供達に渡すポケモンさ!左から草ポケモンのチコリータ、水ポケモンのワニノコ、炎ポケモンのヒノアラシ。どの子にする?」
『チコ!』『ワニャー!』『ヒノッ!』
「わぁぁ!」
初めて見るジョウトのポケモン達は可愛いさとかっこよさがあるけど、わたしは一目見てこのポケモンに決めていた。
「ウツギ博士。この子にします!」
わたしは炎タイプのヒノアラシを抱えようとしたら背中の炎を消してくれた。
「ヒノアラシだね。この子は"猛火"という体力が少ない時、炎タイプの技の威力が上がる特性があるんだ。ジルチちゃんは他にもポケモンを持っているのかい?」
ウツギ博士は2匹のポケモンをボールに戻してわたしの手持ちについて聞いてきた。
「持ってますよ!出ておいで!ラクライ、イーブイ!」
わたしはヒノアラシを抱えながら鞄に入れてた2つのボールを投げた。
『ワゥッ!』『ブーィ!』
2匹はボールから出るといつもと違う景色に少し驚いていた。
「ラクライ、イーブイ。ここはジョウト地方。この地方から私達は冒険へ出るよ!それでこの子は新しい仲間のヒノアラシ!2匹ともよろしくね。」
わたしは2匹にヒノアラシの紹介をした。ヒノアラシを2匹の元に降ろすと早速じゃれ合いだした。
「イーブイは見た事あるけどラクライというポケモンは初めて見るよ!カントーのポケモンじゃないよね?」
「はい。ラクライはホウエン地方のポケモンです。」
「ホウエンか!随分と遠いね。」
「元々ホウエンで研究をしていて、訳あってオーキド博士の所で研究する事になりました。ラクライはホウエンで住んでいた頃にジルチと出会いました。」
お母さんはウツギ博士に事の経緯を話した。ホウエンの森を駆け巡っていた日々が懐かしい。
「ホウエンからカントーへ…それはまた遠くから来たんだね!…おっと。ずっと立ち話じゃ悪いし荷物を部屋へ運ばないとね!僕も手伝うよ!」
「お部屋を貸していただいた上、引っ越しの手伝いまで…本当にありがとうございます。」
「いいよ!僕だってシズクさんに感謝しているから気にしなくていいさ。研究は落ち着いてからで大丈夫だよ」
「ありがとうございます。」
「お母さん!私も運ぶよ!」
「ジルチ、ありがとう」
わたしは3匹をボールに戻して、トラックに積んだ荷物を研究所の2階の部屋へ運ぶ作業を始めた。
_21/74