09
エンジュにある伝承通り、ホウオウは虹色とも呼ばれる美しい翼と尾羽でその姿は神々しかった。
「伝説のポケモン、ホウオウ…」
『スイクンから話を伺っております。水の都の巫女の後継者、ジルチ。貴女の旅路に聖なる炎の加護を授けましょう』
ホウオウが美しい翼を広げ、軽く羽ばたかせると、私の周りに炎の渦が舞った。
「!?」
その炎は不思議と熱くなく暖かいもので、何周か舞うと虹色の粉になって消えた。
『水の都の一族なら海の神と言われるルギアに会ってみるのもいいでしょう。彼は渦巻き島の深層に住んでいます。貴女の旅路に幸福の光あれ。…それとマツバ殿、エンジュの平和を保っている事に感謝してます。貴方の修行は無駄ではないことを私が保証致します』
「勿体なきお言葉です…!」
ルギアの事とエンジュの事を話してホウオウはスズの塔から飛びだった。
『巫女。都の封印を解き、儀式を行うのであればすぐに駆けつけます』
「わかった」
『失礼します』
三聖獣も解散して辺りは静かになり、空を見上げるとホウオウが飛び去った方向に綺麗な虹がかかっていた。
「…何だかあっという間でしたね」
「ホウオウと三聖獣に出会うだなんてそうそうない話だ。忘れられない1日になるね」
「ホウオウに誉められた…!!もっと修行頑張るよ!」
「あ、マツバさん嬉しそう」
マツバさんは両手に拳を作ってガッツポーズをしていた。
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