水の都の巫女 | ナノ


08

 ―スズの塔・頂上
エンジュシティを一望できる高さで眺めがよかった。私達はスイクンが現れるのを待った。

「焼けた塔もこれくらいの高さはあったのですか?」

「文献にはそう書いてあるね」

焼けた塔とスズの塔の関係性をマツバさんと話しているといきなり北風が吹いた。

『お待たせしました』

『こんな弱そうな子供にホウオウ様の聖なる炎の加護を授けるのか』

『スイクン、本気か?』

スイクン、ライコウ、エンテイの三聖獣が現れた。
どうやらあまり人にいい印象がないようだ。

『本気です。ライコウ、口を慎みなさい。正式な後継はされてませんが彼女は水の巫女ですよ』

スイクンの話を無視してライコウは私の前に飛び降りた。

『おい!お前勝負しろっ!!我が雷を受け止める事が出来るなら認めてやる!!』

「ライコウがそう言うなら受けてたつ!」

ライコウの周りがバチバチと電撃が走る。

「ちょっとジルチちゃん!?」

『ライコウ、いい加減に…』

『我が雷、食らうがいい!!』

ライコウの雷が私の上に落ちてきた。伝説のポケモンの雷の威力は凄まじい物だった。

「っ!!」

―バチンッ!!!

私は生半可なひかりのかべじゃ割れると思い、全力を出して雷を受け止めた。

『何!?ひかりのかべだと!』

「……全力を出してなかったら危なかった」

ひび割れかけたひかりのかべを消して深呼吸をした。手のひらを見ると少し火傷をして赤くなっていた。

「ジルチ大丈夫か!?」

「はい、ハヤトさんこそ大丈夫ですか?」

「俺たちは平気だが…」

ハヤトさんが心配しそうなので手を後ろに隠した。

『我が雷を受け止めたか…。その実力、認めてやろう』

『避けるかポケモンを出すと思ったら己の身で受け止めるとは恐れ入った、子供よ』

「それはどうも…。避けたらこのスズの塔も焼けた塔になるよ」

ライコウとエンテイに一応実力を認められた。
ふと、上を見ると光輝く何かがスズの塔に向かってきていた。

『ホウオウ様のご到着です』

三聖獣は頭を下げるとホウオウはスズの塔に降りた。

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