水の都の巫女 | ナノ


07

 水の都では1年に1度、街の水を清め、都に住むポケモンと民に繁栄と祝福を願う儀式を行っており、私も参加していました。
その年も巫女の舞と唄を奏で、水の都の護神ラティオスがこころのしずくの力を解放し、最後に私が水の清めを行うはずでした。
しかし、巫女の舞の途中に悪き者たちが力を解放中のラティオスと巫女の娘を拐い、都は恐怖と混乱に陥りました。
そして儀式を中断した事により、災いが都を襲いました。当時の巫女と私、ラティアス達は災いを止めるべく、持てる力を全て使いましたが止める事はできず都は波に飲まれて沈みました。巫女は力を使い果たし、民たちは波によって命を落としました。
私と生き残ったラティアスの仲間達と共に無事に帰ってくると信じてラティオスと巫女の娘を待ちました。
幾年が経ち、彼らは傷を負いながら帰ってきました。彼は都は災いによって崩壊したのを知り、外部からの侵入を防ぐ為にこころのしずくの力を使って都を封印をしました。その後、巫女の娘と姿を消しました。

『―貴女が見た光景の通り、それが水の都で起こった悲劇です。私が話せる事はそれくらいです』

「…お父さんの手紙には一族の事は書いてあったけど都の事を詳しく書いてなかった。話してくれてありがとう、スイクン」

『はい』

「そういえば一族は水を操ることができるみたいだけど私はそんなことできないよ?」

『貴女の場合は父親の血が濃く受け継がれたからでしょう』

「なるほど…」

『貴女の旅にホウオウ様の聖なる炎の加護を授けたいので明日、スズの塔へ来てください。お二方も同席しても構いませんので、また明日お待ちしてます』

スイクンは上の階へ飛び去って姿を消した。

「君には何かあると思っていたけどここまでだとはね」

「マツバさん…あまり驚かないのですね。現実味のない話だと思わないのですか?」

「いいや?そういった事はどの地方にもあるだろうしこのエンジュにもいろんな言い伝えはある」

確かに歴史のある街のジムリーダーやってるだけあるかもしれない。

「ハヤトさんも驚かないですね」

「ジルチに関して驚く事が多すぎて慣れてしまったよ」

ハヤトさんは私が空飛んだり技打ったりしてるところを見ているから慣れてしまったようだ。

「明日はスズの塔ですね」

「スイクンに同席の許可を得れてよかったな、マツバ。ホウオウに会えるよ」

マツバさんはホウオウに憧れているって言ってたのを思い出した。

「嬉しいけど僕はジルチちゃんが1番羨ましいよ」

僕も御加護を授かりたいと言いながら私たちは梯子を登って焼けた塔を後にした。

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