04
2人に最初に案内されたのは看板に"歌舞練場"と書かれた建物だった。
「えっと、ここは…」
どういう場所か聞こうとしたら中から綺麗な着物を着た女性が出てきた。
「あら、マツバはんにハヤトはんやないの。それに可愛らしい子連れてどないするんどす?」
「今からみんなでお茶を飲みに行くんだ。この子はジルチちゃん。初めてエンジュに来たから着付けしてもらって楽しんでもらおうと思ってね」
「そういう事どすかー。うちらに任せてくださいな。ささ、中へどうぞ」
話の流れがいまいち掴めないまま私は中へ招かれた。
「僕らはここで待ってるから。あと荷物は舞妓さんたちに預けていいからね」
外からマツバさんの声が聞こえて「わかりました」と返事を返した。マサキさんが言ってた舞妓さんってこの女性の事だったんだと確認した。
「空のような綺麗な青色の髪どすなぁ。さぁてどの色がえぇやろかー」
「綺麗な髪飾りやねぇ。髪型も少し変えてみましょ」
「さぁさぁ、荷物はここに置いてはよブラウスを脱いでくださいな」
「え、ちょ、待っ……」
気づいたら舞妓さんたちに囲まれてあれやこれやと言われながら髪は下ろされ身ぐるみを剥がされていった。
「長襦袢を持って…って、あんさんえらい細いどすなー!ちゃんと食べてはるん?女の子はちょっと身がついてる方がええんよ?その方が魅力的どす!」
「…結構食べてますよ?」
長襦袢を着せられながら「もっと食べ!」と言われた。
「あんさんはこの色がえぇなぁ」
「いやー綺麗どすなぁ!」
舞妓さんが持ってきた着物は肩辺りが紺色でだんだん青色になって袖辺りは紫色で綺麗だった。
「帯は山吹色どすな」
「髪型はどないしましょ。派手にしたらあかんなぁ」
「流れる感じにしましょ」
私は舞妓さんたちになされるがままにしていた。
―歌舞練場・外
「ジルチちゃんの着物姿楽しみだね」
「そうだな」
「僕は修行に行くと言って明後日までジム閉めるけどハヤトは明日明後日ジムどうするの?」
「あ、忘れてた。ジムトレーナーの子達にエンジュにいる事を伝えておこう」
「…(ハヤトが堂々とサボった…)」
俺はポケギアで明後日まで休みだと連絡をいれた。
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