水の都の巫女 | ナノ


42

 バトルが終わり、マツバさんは私に近づいてきた。

「バトルの実力ではそれほど負けていないはず!けれど君にはそれだけではない何かが……」

「ん?」

「…わかった。このバッジは君のものだよ!」

私はマツバさんからファントムバッジを貰った。

「それから…これも君に譲ろう。わざマシン30はシャドーボール。ただ攻撃するだけじゃなく、稀に特防も下げる。イーブイが使ったのは驚いたよ」

受け取ったバッチと技マシンをそれぞれケースに入れて鞄になおした。

「あの子は前の持ち主のとこにいたブイズたちの技を見て覚えたみたいです」

「元は別の持ち主だったんだね。それにしても息が合っていい感じだったよ」

「ありがとうございます」

「それだけの強さを持つ君なら海を渡っても大丈夫そうだね。ここから西へ行き、さらに南へ下って行くとアサギシティがある。そちらへ行ってごらん……と言いたいところだけど、君に用があるからもう少しエンジュに居てもらいたいな」

『ゲゲン!』

「っ!?ゲンガー!?」

どこからともなく現れたゲンガーに驚いた。それにこのゲンガーはさっき戦ったゲンガーより強い感じがする。

『ゲン!』

ゲンガーの目が赤く光ったと思えば唐突に眠気が襲ってきた。

「なっ…」

床に倒れて意識朦朧の中、ゲンガーに警戒をしているシャワーズに指示を出そうと思った。
そして何故私にさいみんじゅつをしたのか疑問を抱いた。

「…みずの、はど…」

「ゲンガー、シャワーズにもさいみんじゅつ」

ゲンガーの方が動きが速く、さいみんじゅつでシャワーズも眠ってしまった。

「ごめんね、手荒な真似はしたくなかったけどこうでもしないと、ね」

マツバはジルチの腰にあるシャワーズのボールを取り、シャワーズをボールに戻した。他の2つのボールがカタカタと揺れていた。

「大丈夫。これ以上ジルチちゃんに危害を加える気はないよ」

「よい、しょっと…ゴース達、僕達を屋敷まで送ってくれないか?」

マツバはジルチを抱えて深い闇の底に飛び降りた。
そのあとジムの蝋燭の火が消えたのと同時にジムトレーナー達も煙のように姿を消した。


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