水の都の巫女 | ナノ


36

 ―コガネジム前―

ジムの中は可愛らしい色合いの立体的で迷路な感じだった。
ジムトレーナーのポケモンを見てるとどうやらノーマルタイプで♀が多いことがわかった。
あっちこっち登って降りての繰り返しをしているとやっと奥にたどり着いた。

「はーい!うちがアカネちゃーん!!……ってあんた今朝ラジオ塔におった人?トレーナーさんやったんやね」

今朝ラジオ塔に行ったときにクイズをやってた子だった。

「ジムリーダーだったんですね」

「せやで!うちに挑戦しに来たんやんな?言うとくけど、うちめっちゃ強いでー!」

「負けませんよ!」

アカネさんはピッピを出して私はマグマラシを出した。
マグマラシはやる気満々で炎をいつもより燃やしていた。

「マグマラシ、先制攻撃するよっ!スピードスター!!」

ぴしぴしとピッピの頭にスピードスターが当たる。

「綺麗な技やのにめっちゃ痛そうやん!ピッピ反撃やで!ゆびをふる!!」

「博打技と言われる技をここで…!マグマラシ、何が起こるかわからないから気をつけて!」

マグマラシはゆびをふっているピッピに警戒をした。
ピッピのゆびがふり終わり、何が起こるか待っていると……何も起こらなかった。

「え…不発?」

「えーありえへん!何でー!」

ゆびをふるがまさかの不発。と誰もが思っていた時、突然ピッピの身体が光出して……ドカーン!!と凄まじい音で大爆発を起こした。

「だいばくはつ!?」

「ちょ、ピッピ!?」

だいばくはつの爆風でマグマラシは吹き飛ばされ、フィールドに身体を打ち付けて気絶した。ピッピはだいばくはつにより所々焦げて倒れていた。
1匹目から早々相打ちで終わってしまい、お互い拍子抜けした。

「警戒をしてたけどいきなりのだいばくはつは対応できなかったよ…。ごめんね、マグマラシ」

マグマラシをボールに戻してライボルトを出した。
アカネさんもピッピをボールに戻して最後の1匹を出した。

「あと1匹やけど…負けへんで!」

「さっきみたいに相打ちで終わらせませんよ!」

「せやな!」

私はこのあと、アカネさんのミルタンクの恐怖を知ることになるとは思いもしなかった。

「ライボルト、かみなり!」

ライボルトはミルタンクに少し近づいてからかみなりを放った。

「ちょ、動き速いやん!でもうちのミルタンクはかみなりぐらいで倒れへんよ。ライボルトにふみつけ!」

「(あのふみつけは危ないかもしれない)避けて!」

ライボルトはミルタンクのふみつけられる前に横へ飛んでかわした。

「もーっ!ちょこちょこ避けらてばっかじゃあかんわ!ミルタンク、メロメロや!」

ミルタンクはライボルトに可愛くウィンクをした。

「まさか…」

私はメロメロと聞いて顔を青ざめた。

「もうライボルトはうちのミルタンクにメロンメロンやで!」

「ライボルト!!」

ライボルトに呼びかけたけど反応がなく、ミルタンクを見つめたままだった。
心なしかハートが飛んでるように見える…。

「このままメロメロの状態だとライボルトは攻撃ができない…!」

してやられた…性別を使った戦略とは面白いけど、やられるとこれほど厄介だとは…。

「ミルタンク!ころがるで1発かましたり!」

ミルタンクの勢いがあるころがるがライボルトに迫る。

「ライボルト!しっかりして!」

メロメロの状態のライボルトは何の構えもなくミルタンクのころがるにぶつかって軽く吹き飛んだ。

「そのままふみつけ!」

「ダメだっライボルト、目を覚ませぇえ!」

ふみつけを食らえばライボルトは倒れる可能性が高い、目を覚ますことを期待して私は大声で叫んだ。

ライボルトがふみつけられる瞬間。

『ガルル!』

ライボルトは間一髪、正気を取り戻してミルタンクにかえんほうしゃを放った。
近距離のかえんほうしゃの炎がミルタンクを包む。

「…よかった!」

「ひー!んなアホなー!」

ライボルトは少し頭を振ってからミルタンクの後ろに回りこんで、ミルタンクの視界に入らないように動いていた。

「切り替えていこう!ほうでん!!」

「あかん、ころがるで相殺して!」

ほうでんで放たれた電気ところがるがぶつかり合い、そのままミルタンクのころがるが突っ込んできた。

「あのころがる…怖すぎる!!10万ボルトで迎え撃って!」

タフなミルタンクのころがるに恐怖を感じた。力押しで敵う相手ではないことは確かだ。何か策を考えなきゃ…。
攻撃を避けれてもメロメロをされては手も足も出ない状態になる…ならば攻めるしかないのか…?
ライボルトの10万ボルトで何とかころがるを止めることができた。

「ライボルト、よくやった。まだいけそう?」

『…ワウ!』

あのころがるを逆手に取れば勝てる可能性は見えてくる。
ライボルトがまだいけるなら頑張って体力を削りたいところ。
私は必死に策を考えていた。

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