水の都の巫女 | ナノ


28

 アルフの遺跡へ寄ってからヒワダタウンへ向かい、繋がりの洞窟を抜けてやっとヒワダタウンに到着した。途中で道に迷って泣きそうになったけどなんとかなった…。
空を見上げれば星空が広がっていた。

「あー疲れた!シャワーズ、まずはポケセン行って泊まろう!寝よう!服洗いたい!!」

洞窟内でお互い土まみれになったシャワーズに言いたい事を言ってポケセンへ向かった。
ヒワダタウンはポケモン…特にヤドンと仲良しな人が多く、ヤドンの伝承的なものがあるくらいだった。

『やぁん?』

ポケセンのカウンターにヤドンが座っていて目が合うと情けない声を出して首をかしげられた。

「夜遅くにすみません、ポケモンの治療と一泊するので部屋を貸してください」

「かしこまりました。ボールとトレーナーカードお預かりしますので少々お待ちください」

手持ちのボールとトレーナーカードをジョーイさんに渡して椅子に座った。少しの間、近くにあった雑誌を読んでいるとジョーイさんに呼ばれてカウンターへ向かった。

「ポケモンの治療終わりました!こちらが部屋の鍵です。お疲れ様でした」

「ありがとうございます」

私はボールとトレーナーカード、鍵を受け取り、初めてポケセンに泊まるから内心ワクワクしていた。
部屋に着いて早速持っていた服を全部洗濯機に入れてお風呂に入った。
備え付けにバスローブもあってサイコソーダを飲みながら明日の予定を考えていた。

「明日はジム戦してウバメの森を抜けよう。その前にガンテツって人に会ってぼんぐりを渡してボールを作ってもらおうかなー。ヒワダジムは虫ポケモンのジムだからマグマラシ主軸で戦術考えよう…」

鞄の中にあるぼんぐりケースや技マシンを入れた箱を出しているとライボルトがボールから出てきた。

「ん?ライボルトどうしたの?」

ライボルトは技マシンの箱を器用に開けて1枚の技マシンをくわえていた。

「これは…かえんほうしゃの技マシン?ライボルト…かえんほうしゃ覚えるの?」

『ワウ!』

そうだ、とライボルトは吠えた。
炎技が1つでも使えたら戦術は増えるなと思い、かえんほうしゃの技マシンをライボルトにかざした。
しばらくするとライボルトは満足げにすり寄ってきた。

「ライボルト、ありがとう。明日のジム戦よろしくね」

ライボルトの頭を撫で終わるとライボルトは自らボールへ入った。

「今回はマグマラシとライボルト主軸でいくか!ライボルトのかえんほうしゃがどんなものか試してないからジムトレーナーとバトルする時に試し打ちしてみよっと。…それじゃみんな、おやすみ」

私は鞄の中を整頓して、洗濯物を干してから眠った。

 翌朝、干した予備の服をたたんで鞄の中になおし、ガンテツというボール職人へ会いに行こうとポケセンを出た。その前にジムの場所を確認しようと思い、町を歩くと違和感を感じた。

「昨日の夜までたくさんいたヤドンが減ってる?何匹かいても尻尾が切られている…」

ヤドンたちは尻尾の先がなくなっていても気にもしてないようだった。
妙だな…と思ってジムの近くまできて入り口に立ちふさがる人物がいた。

「っ!(ロケット団…!!)」

どういうわけだかロケット団がジムの入り口に立っていた。私はその場を引き返してロケット団について何か知ってないかと思い、ガンテツさんの所へ向かった。ジムの近くにガンテツさんの家があったので早速、中へ入った。

「おう、お前は誰や?」

「突然お邪魔してすみません。ジルチと申します」

「そうかジルチいうんか。ボールを作ってほしいんか?悪いがそれどころちゃうんや」

「…ロケット団ですか」

「知っておるんか。3年前に解散したはずなんやが……。とにかくそいつらが井戸でヤドンのシッポを切っては売りさばいとるんや」

「ヤドンの尻尾を…?」

「だからわしが行ってちとこらしめたるんや!よーし!待ってろヤドン!男ガンテツが助けたるぞ!」

そう言ってガンテツさんは家を飛び出して行ってしまった。

「え、ちょ、ガンテツさん!?」

1人でロケット団を相手するのは危ないと思い、私もガンテツの後を追った。


prev / next

[ 目次に戻る ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -