水の都の巫女 | ナノ


アルフの遺跡調査(27話後)4

 ポタッと頬に何かが当たって意識が戻ってきた。

「おーい、ジルチしっかりしろー」

目を開けると船酔いでダウンしたはずのゴールドさんが水のペットボトルを片手に私の顔を覗いていた。

「ジルチさん大丈夫?」

「……大丈夫、です」

クリスさんたちがその場にいるのを確認できて安心した。身体を起こすと少し目眩がした。

「お前らの叫び声が聞こえたと思って来てみりゃアンノーンの集団に絡まれてるしジルチは倒れたまんま起きないから焦ったぜ。何があったんだよ?」

実際何が起こったのかわからなかった。
私は両親の過去を見たけど…クリスさんとシルバーさんは黙ったままだった。

「…ん、まぁ無事でよかった。研究所へ帰ろうぜ」

ゴールドさんは先にあなぬけのひもで石版の間へ戻っていった。

「…お前も過去を見たのか?」

シルバーさんは何か確認するかのように聞いてきた。

「…両親の過去を見ました。誰かに知るべき過去だと言われて」

「オレは忘れるべきじゃない過去と言われた」

「私もそうよ」

どうやら何かしらの過去を見たようでお互い内容は聞かなかった。

「妙な体験をしましたね…。戻りましょうか」

私たちはあなぬけのひもで石版の間に戻り、船に乗って研究所へ帰った。
遺跡を出るときも視線を感じ、研究所に着けばまたゴールドさんが船酔いでダウンした。

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