水の都の巫女 | ナノ


24

 昔話を少し聞いてグリーンと別れる際に握手をした。外に出てピジョットに乗る前にジルチへ連絡を入れた。

「わかりました!気をつけて帰ってきてくださいね!」と言って切れてしまった。バトルをしている音が聞こえてきたから練習場で手持ちを鍛えているのだろう。

「そうだ。ジルチに手土産買っていこう。ピジョット、キキョウに戻る前にコガネへ寄り道するぞ」

ピジョットは頷いてから羽ばたいた。和菓子もいいが洋菓子にするかと考えながらコガネシティへ飛んだ。

 コガネシティに着いて早速コガネ百貨店へ足を運んだ。色とりどりのお菓子を見ていて今日はさっくりとしたものを口にしたい気分だった。

「すみません、これ2袋」

「ありがとうございましたー!」と元気な店員から商品を受け取った。昔食べたときに結構気に入って、サクサクしていてほんのり甘味があるお菓子だ。

「そう言えばジムにあるキズぐすりの在庫がなくなりかかっていたな……」

キズぐすりが切らしそうになっていたので上の階に行って日用品も買い足した。
その階に雑貨が置いてあるエリアがあって興味本意に見て回る事にした。数々の雑貨を見ていると目に止まった物があった。
それはウイングバッチに似た白銀の翼の形をした髪飾りだった。

「あの子、赤いリボンで1つに束ねていたな…」

俺の呟きが聞こえたからして店員さんがやってきた。

「こちらの髪飾り素敵でしょ?カロス地方の作家さんが作ってこの1点しかないのです!」

確かにいい髪飾りだ。空を舞う事ができる彼女にはぴったりだろうと思い、翼の形をした髪飾りを買う事にした。

 買い物を済ませて夕方頃にキキョウシティに着いた。家に着いて練習場へ向かうと、ジルチはまだ修行をしているようだった。
練習場の扉を開けるとそこには手持ちの3匹とジルチが技をぶつけ合って攻防戦をしている姿があった。ジルチは助けてくれた時の姿で…軽く浮いていた。
しばらく様子を見ているとジルチが俺の存在に気づいた。

「あっハヤトさん、おかえりなさい!」

「ただいま」

すっと地に降りて普通の姿になったジルチが駆け寄ってきてきた。

「もしかして…少し見てました?」

タオルで汗を拭きながら気まずそうに聞いてきた。

「あぁ、凄かったから少し見ていた。…まずかったかな?」

「んー…まぁさすがにポケモンと互角に戦い合うトレーナーなんてそうそういないでしょ?」

「カラテカならやってると思うな。確かにまともに10万ボルトとかかえんぐるまが当たったら痛いだけじゃ済まないからね…」

たまにじゃれ合ってポケモンの技が当たってる人はいるけど、ポケモンが手加減をしているかトレーナー本人が慣れている事が多い。野生のポケモンに攻撃された人は軽症か普通に病院行きになっている。

「言っておきますが、いくら私でもまともに当たったら痛いですよ?ひかりのかべとリフレクターで軽減させたりしてますよ?」

「ほらほら!」と2種類の壁を作り出して訴えてきた。

「わかってるよ。晩御飯用意するから先にお風呂、入る?」

「はいっお借りします!みんなも汗を流そっか。お風呂上がったら晩御飯の用意お手伝いしますね」

ジルチの後ろで3匹が飛び跳ねていた。
走って浴場へ向かったジルチたちを見届けて、さっきまで激しくバトルしていたのに元気だな、と思った。


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