02
恐る恐る目を開けると、2人の手を掴んでいたのは白いワンピースを着た青色の髪が肩ぐらいの長さのある女の子だった。
「大丈夫!?」
「あ、あぁ…助かったっ」
「なんとか。って浮いてる…?」
崖から手を伸ばして掴んでくれてるかと思いきや、その子は崖から少し落ちたところで浮いていた。
そして背中には平たく先が尖った翼のようなものが生えていた。
「叫び声が聞こえたから何事かと思ったら、君たちが崖から落ちそうになってたから飛んできちゃったよ!崖の手前まで戻るからじっとしててね?」
女の子が笑顔でそう言って2人を崖の手前まで運んでくれた。
「あーっ死ぬかと思った!!」
グリーンが安堵して大の字で倒れた。
「グリーン…これから周りを確認しよ。…本当に助けてくれてありがとう。えっと…君、名前は?」
レッドはグリーンの大の字を横目に見ながら向かいに座っている女の子を見た。見た感じ自分たちと同じくらいの年の子だと思った。
「わたしはジルチ!君たちは?」
女の子はジルチと名乗った。
ジルチが金色の瞳をすぅ…と閉じると背中の翼は消え、再び瞳を開けるとエメラルドグリーンの瞳になっていた。
「オレはグリーン!マサラタウンに住んでる!」
グリーンはバッと起き上がって自己紹介をした。
「ぼくはレッド。同じくマサラタウンでグリーンの隣の家に住んでる」
「グリーンくんとレッドくんね!わたしはお母さんと一緒にマサラタウンに引っ越してきたの!」
「マジかよ!」
「母さんが朝、今日オーキド博士の研究所の隣の家に引っ越しに来る家族がいるって聞いたけどジルチの事だったんだ?」
ジルチは今朝、遠い地方からマサラタウンに引っ越してきた。母親が荷物を整頓している間、近くを探検していたところ彼らの騒ぎに気づいたそうだ。
「お母さんが研究内容をオーキド博士に見せにきたのとこっちの地方に住んでみたかったって言ってたの」
「ジルチの母さん研究者なんだ?」
「うん、難しいことはわからないけど昔のポケモンやその地方での出来事について調べてるんだって!」
「へぇ〜」
「それよりジルチは何で空を飛べるんだよ?遠い地方って飛べるやつがいんかよ?」
「……(そんなバカな…)」
と思いつつレッドも確かに気になっていた。それに子供2人を持ち上げるくらいの力があるとは思えない。
「あー……お母さんに人前では内緒にしなさいって言われてるけど実はわたし、ポケモンの技が少し使えるの」
「「!?」」
「ほら、でんきもちょっと出せたり…」
ジルチが人差し指をたてるとわずかに電撃が走った。
「すげぇなっ!ジルチ!!」
「えへへ、お母さんは神様からの授かり物だからいざって時にしか使っちゃダメ、人前に見せちゃダメって言われてるの。…2人には見せちゃったけどね」
ジルチはいたずらっ子のように舌を出した。
「だ、だから3人だけの内緒にしてね?バレたらお母さんに怒られちゃうからっ」
「いいぜ!」
「グリーンがまたやせいポケモンにイタズラしたことも一緒にね」
「あ!レッドてめぇ!」
「あはは!じゃあお母さんたちに内緒、3人だけの秘密、ね」
3人は互いに小指を出して指切りをした。
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