水の都の巫女 | ナノ


21

 ハヤトさんに治療してもらった後、バトルの事をたくさん話せて凄く楽しかった。いただいた羊羮が控えめな甘さでお茶によく合っていた。
あのバトルでハヤトさんが何が起こるかわかった瞬間の表情を見た時「よっしゃ!決まった!!」と心の中でガッツポーズをしていた。
その場で考えた策を上手くいってマグマラシもよく動いてくれた事に感謝した。
ジム戦向けのメンバーと言えど手強くやりごたえがあった。そういえばあの2匹ってハヤトさんのお父さんが育てたと言ってたっけな…。

「ハヤトさんの自慢の鳥ポケモンってどんな子がいるんですか?」

"自慢の鳥ポケモン"と言った瞬間、ハヤトさんの顔が輝いたような気がした。

「そうだった!君に見せてやろうと思ってたんだ!練習場に行こう!」

バっと立ち上がって「さぁ!行こう!」と言われたので私も立ち上がってハヤトさんと練習場へ向かった。

練習場は鳥ポケモンが自由に動けるように天井がとても高く、広く造られていた。
ハヤトさんは6つのボールを投げて6匹の鳥ポケモンが出てきた。

「こいつらが俺の自慢の鳥ポケモンだ」

ピジョットとヨルノズク、名前を忘れたけどホウエンに住んでた時に見た事がある口が大きい鳥ポケモンは知っているけど、あとの3匹は見なれない鳥ポケモンだった。

「ムクホーク、ペリッパー、ドンカラス、ヨルノズク、オオスバメ、ピジョットだ。どうだ?カッコいいだろ?」

思い出した、あの口が大きいポケモンはペリッパーだ。どの鳥ポケモンも胸元がもっふりしていてもふも………かっこよかった。

「かっこよくて逞しいですね」

「そうだろ?君はものわかりがよくて助かるよ!世間は電気タイプでいちころだから弱いだなんて言うんだ!あの時……1匹でも持っていたら外へ吹き飛ばされも平気だったんだが…」

「ひどい話ですね(氷もダメだったような…)彼らなら平気そうですね。身体つきがとても丈夫そうで」

話ながら一番もっふりしてそうなドンカラスを撫でた。

「…そう言えば君の手持ちに電気タイプがいなかったか?なぜバトルに出さなかったんだ?」

電気タイプの話の流れで私の手持ちに電気タイプのライボルトを思い出したようだ。

「あー…マグマラシとシャワーズに任せようと思って。もし2匹で戦って敵わなかったらライボルトを出すつもりでした」

腰にあるライボルトの入っているボールを撫でて昔の事を話した。

「…昔、オーキド博士の庭にいたポケモンをいじめていたオニスズメの集団を追い払う為にラクライで攻撃した事があります。ハヤトさんの電気タイプでいちころの話を聞いて少し申し訳なくなったのが本音ですけどね」

「なるほど、そうだったか。でも俺たちはそれでやられるほど柔じゃない。ジルチ、君の旅が落ち着いたらまた再戦してくれないか?今度はこいつらで相手してやるよ!」

「喜んで!!それまで私も鍛えますね!えっと…これ、私の番号です」

「ありがとう。俺も負けるわけにはいかないな。…登録したよ。俺の番号はこれだ」

お互いにポケギアの番号を登録していつか再戦する約束をした。これでまたバトルする約束をしたのは3人目で再戦できる日が楽しみだ。
足元にいたシャワーズが眠そうに欠伸をしているのを見て、ポケギアで時間を確認したら21時ぐらいだった。

「明日朝早めにジムに来ます。ジムの入り口で待ってて大丈夫ですか?」

「ん?しばらくここで泊まらないのか?」

「え?ポケセンで部屋を借りて泊まるつもりでしたが…?」

旅をするトレーナーのほとんどはポケセンで無料で使える部屋を借りるか野宿をする。私もできる限り移動して町にあるポケセンで泊まるよう心がけるつもりだった。
しかしハヤトさんは真顔のまま私の顔をじっと見ていた。

「え、いや、傷の手当てといいさすがにそこまでお世話になるわけには…!」

「2度も君に命を救われたし、ジムの修理手伝ってくれるならこれぐらいもてなすよ。それにまだロケット団がキキョウシティのどこかに潜んでいるかわからないからさ」

「……」

ロケット団の件はハヤトさんの言う通りだった。
ポケセンとは言えど安全かどうか言われると正直初めて泊まるからわからない。それなら信用できる人がいる場所に泊まるのが一番だろう。

「…ハヤトさんがそう言うのなら、お言葉に甘えてもいいですか?」

「うん、構わないさ」

ハヤトさんは満足げな顔をして頷いた。


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