水の都の巫女 | ナノ


19

 どういう意味かわからず焦っているとハヤトさんに左手首を掴まれた。

「左腕、怪我をしている。ジムの休憩室にはポケモン用のきずくすりしかないから俺の家で治療するよ」

「ん?あれ、いつの間に…」

私の左腕は何かで擦ってブラウスが血で滲んでいた。ずっとバトルやロケット団のことに集中していて全く気づかなかった。

「電話している時に、シャワーズが君の左腕をずっと見ていたから気になったんだ。俺も後ろから見て怪我していることに気づいた」

シャワーズに目をやると心配そうな顔をしていた。

「そうでしたか…ありがとうございます。シャワーズ、心配してくれてありがとう。このくらい平気よ?」

右手でシャワーズの頭を撫でてあげたらと少し安心したようだ。

「さてと、日が暮れてきたし治療しに帰ろう。俺の自慢の鳥ポケモンを見せてやるよ」

「それは楽しみです」

私たちはキキョウジムを出てハヤトさんの家へ向かった。

 マダツボミの塔とジムが見える場所にハヤトさんの家があった。

「お邪魔します」

「どうぞ、部屋で待っていてくれ。救急箱を取ってくる」

ハヤトさんがそう言って部屋を出ていった。家の中は和風な造りになっていて居心地が良かった。

「研究所はそうでもなかったけどここや他の街ってそういう造りが多いのかなー?」

シャワーズは畳の触り心地が気に入ったらしく、私より寛いでた。
マダツボミの塔も木造建築で機械や科学に囲まれた生活をしていた私には新鮮に感じた。
マサラタウンと違った和やかな雰囲気があってよかった。

「あ、そうだ。今のうちにオーキド博士に連絡しよう」

帽子を脱いでキュロットスカートのポケットに入れていたポケギアを取り出し、登録したオーキド博士に電話を掛けた。

「もしもし?ジルチです」

「おぉ!ジルチちゃん!!久しぶりじゃ。元気にしておったか?」

「えぇ、一応。今朝旅に出て、今キキョウシティにいます。1つ目のバッチ、手に入りました」

「それはそれはいいことじゃ。……ウツギ君から事情を聞いておるよ。シズクさんのことは残念じゃと思ってるしジョウトで1人旅してる君のことが心配じゃよ…」

いつも元気なオーキド博士の声が寂しげだった。

「…すみません。実は今日のジム戦後に私を狙ってロケット団が乗り込んできました。追い払うことに成功しましたが…。そういえばカントーで活動していたロケット団って解散したんですよね?」

「ふむ…君の力を使って何か悪いことを企んでいるようじゃな。そうじゃ。レッドがロケット団のボス、サカキと戦って勝った時にサカキが解散宣言したんじゃからな」

「レッドがロケット団を壊滅させたんですか!?」

まさかロケット団の壊滅をレッドがしたと思わなくて大声を出してしまった。

「…ジョウトじゃ少年が壊滅させたとしか伝わってないからのぉ。その後サカキは行方不明なったわけじゃが幹部たちはサカキの復活を願って行動しているらしい」

「そうですか…ところでレッドとグリーンは今どうしていますか?」

ロケット団のボスは行方不明、ボス復活の為に私を利用しようとしている可能性が出てきた。
レッドが話題に出て今2人がどうしているか気になった。

「レッドはグリーンに勝ってチャンピオンになったが数ヶ月後、チャンピオン辞退してシロガネ山でずっと修行してるそうじゃ。グリーンは…トキワジムのジムリーダーになったよ」

3年ちょっとの間に2人はリーグを制覇して許可された人しか入れないシロガネ山で修行したり、ジムリーダーになっていて、流石だなと負けてられないなと思った。
そう言えば…レッドとの約束はどうなるんだろ?リーグ制覇したらシロガネ山に行けばいいんだろうか?

「…やっぱり2人は凄いですね。私も負けてられないです。キキョウジムの修理が終わったらヒワダタウンで2つ目のバッチ目指します」

「負けず嫌いなところは相変わらずのようじゃな!図鑑はどんな感じになったかの?」

はっはっは!と笑い声が聞こえてきて私も少し笑いそうになった。

「まだワカバタウンからキキョウシティの周辺までしか調べていませんが、昼夜で活動時間が違うポケモンが多いようです。カントーで生息が確認されたポケモンもちらほらいますね」

「ふむ、順調のようじゃな!頑張るんじゃぞ。あまり無茶はせんようにな?」

「はい、頑張ります。それでは…」

一通りの報告を終えて一段落がついた。
ポケギアをポケットの中に直して、今回のバトルの反省点を考えた。

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