水の都の巫女 | ナノ


18

 ロケット団がヘリコプターで去っていったのを見て、どうして居場所がわかったのかジルチは疑問を抱いていた。

「君は一体、何者なんだ?ロケット団に狙われているようだが…」

ハヤトはジルチの正体が気になった。空を飛べる人間だなんて聞いたことがない、自分だって空を飛んでみたいものだ。

「私は…半端者、ですね。昨日からロケット団に狙われていて、今日住んでいた町から離れて旅に出たのですが…どういうわけだか見つかってしまったようです」

ジルチは苦笑いしながら「困りましたね」と呟いて、マグマラシとライボルトをボールに戻すと天井を見上げた。

「困ったと言えば…天井、私も含め、ロケット団のせいで穴空いちゃいましたね」

「君のせいじゃないし2度も助けてくれたから気にしなくていいよ。修理している間ジムを休業しないといけないし、この事リーグに報告しないとな」

ハヤトは懐に入れていたポケギアを取り出した。

「もしもし?キキョウジムのハヤトです。実は…」

ハヤトがリーグに連絡を取っている間、フィールドから離れている場所にいたジムトレーナー2人と1階にいた案内人が心配して駆け寄った。

「爆発音が聞こえたけどチャレンジャーのお嬢ちゃん大丈夫かい?」

「ハヤトさんとチャレンジャーの子も無事でよかった!」

どうやらジムトレーナーたちには私が飛んだところは見えてなかったようだ。

「私は大丈夫です。でもジムの天井とフィールドが大丈夫じゃないですね…」

天井は爆発によって空が充分見えるくらい大きく穴が開いて、その瓦礫や破片がバトルフィールドに散らばっていた。

「こりゃ掃除と修理が大変だな…」

「掃除と修理、手伝いますよ?」

理由はどうであれジムに迷惑をかけたことに代わりないので掃除と修理を手伝うつもりだった。

「それは助かるよチャレンジャー!そう言えば名前、何て言うの?」

「ジルチです。今朝、ジム巡りとポケモンのことなど研究をする旅に出ました」

「ジルチちゃん今朝出たばかりなのにもう1つ目のバッチ手に入れるなんてすげぇな!それに研究もしてるなんてほんとすげぇな!!」

ジムトレーナーの人と話している間にリーグとのやり取りが終わったハヤトさんがこちらにやってきた。

「…リーグから修理が終わるまで休業で3日後、各地のジムリーダーを招集してロケット団に関する会議をするそうだ。今日はジムを閉めて解散だ。明日から修理、掃除をしよう」

ジムトレーナーたちは「了解、お疲れ様でした!!」と言って解散した。
私もポケセンで部屋を借りて明日またジムを訪れて手伝おうと思い、下へ降りる足場へ戻ろうとした。

「ジルチ…だっけ?君は俺の家に来てもらう」

「へ?」

そのままポケセンへ帰るつもりがまさかハヤトさんの家に来てもらうと言われるとは思いもしなかったので変な返事をしてしまった。


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