12
翌朝、すぐ出れるように旅の支度をして、ライボルト達にもうすぐ旅に出る事を伝えた。
ウツギ博士とヒビキ君たちに全て話してから旅に出ようと思い、1階に降りた。
「! ジルチちゃん、おはよう」
「ジルチさん!おはようございます!!」
「おはようっジルチさん!」
まさかヒビキ君たちがいると思わなくて驚いた。
「お、おはようございます。ウツギ博士、ヒビキ君、コトネちゃん!」
私が笑顔を見せるとウツギ博士は凄くほっとした顔をしてヒビキ君たちは半泣きになりながら「ジルチさぁん!」と叫び、飛びついてきた。
「心配したんすよ!すぐ立ち直れると思わないですけどっ何かあったら俺達に話してくださいっ!!」
「私達、ジルチさんの力になりたいの!」
「わ、わかったから…2人とも、ちょと苦しい…」
ぎゅうぎゅうと抱きつかれて少し苦しかったけど2人の気遣いに嬉しかった。2人に解放された私は昨日知ったばかりの内容を話した。
「そうだったんだね…ジルチちゃん、辛くないかい?本当に大丈夫?」
「言い方が悪いかもしれないですけどジルチさん、それでもカッコいいっすよ!」
「ジルチさんの瞳、凄く綺麗だった!」
3人は私に拒絶をする事なく、心配してくれたり、素直な感想を言ってくれて安心した。
「みんな、ありがとう。それでね今日、旅に出ようと思う。」
「随分と唐突じゃないか!昨日大変な目に遭ったばかりで1人旅だなんて危険すぎる!」
ウツギ博士が机を叩きながら勢いよく立ち上がった。
「かといってここにいたらまたロケット団たちが襲いに来るかもしれない!それに私は強くなるし1人じゃないっ。仲間がいる!!お世話になったウツギ博士に申し訳ないですがじっとしてるわけにはいかないんです!」
言いたい事を言い終えるとしばらく沈黙が続いた。
「わかった……ただし危険な真似はしない、たまに連絡する事が条件だよ。君に何かあったらシズク君に申し訳ないしオーキド博士に怒られちゃうよ」
「…!!ありがとうございますっ」
「親子揃って譲らないところは譲らないね」…とぼやかれたけど気にしない事にした。
「ジルチさん!渡したい物があるのでちょっと待っててくれませんか!?」
「コトネちゃん?」
「すぐ戻ってきますからー!」
コトネちゃんは何かを取りに研究所を飛び出した。
数分後、研究所の扉をバァン!!と開けてコトネちゃんが戻ってきた。
開けた勢いで研究員が持っていた資料の紙が何枚か風で飛んでいった。
「はい!ロケット団たちはジルチさんの顔がわかってるから、帽子を深く被れば少しわかりにくいと思って!」
コトネちゃんから紺色に近い青色の帽子を渡された。
「私のと色違いでリボンなしですよ!!さぁさぁ!被って被って!」
「あ、ありがとうっ」
1つに束ねてる髪を帽子の中に入れてレッドみたいにちょっと深く被ってみた。
「どうかな?」
「ばっちしです!ジルチさんとても似合ってますよっ」
「さすがジルチさん!!」
「うん、いいんじゃないかな?まるでコトネちゃんのお姉ちゃんみたいだ」
3人が大喜びするので照れくさかった。2階へ荷物を取りに行って手持ちのボールを装着したベルトを腰に締めた。
「お母さん、行ってきます。しばらくこの部屋に戻らないけどカントーとジョウト制覇したら一旦戻るから」
3つになった写真立てを眺めてから部屋の扉を閉めた。
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