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家に帰るとお母さんが段ボールに研究資料を入れていた。わたしも荷物まとめなきゃいけないね…と思った。
「おかえり、ジルチ」
「ただいま、お母さん。オーキド博士からポケモン図鑑もらったの」
お母さんにもらったばかりのポケモン図鑑を見せた。
「オーキド博士が頑張って作ってた図鑑が出来たのね。よかったわね、ジルチ!」
「うん!オーキド博士にジョウトのポケモンを調べてほしいんだって。あと引っ越すの来週まで待ってほしいの。レッドくんたちの旅立つのを見送りたいの!」
「わかったわ、それまでには荷物をまとめておくのよ?」
「うん、ありがとう!今からまとめるよ!」
わたしは組み立ててない段ボールを1枚抱えて部屋へ向かった。
絵本やポケモンの本を段ボールへ詰めて机の上に置いてた写真立てを見た。
「初バトル終わって研究所に戻ったときに撮ってもらったんだっけ…」
写真にはそれぞれのポケモンを抱えて満面の笑みだった。
ふと、視界がぼやけて頬に涙が伝った。
「ダメ…まだ泣くのは早い……」
服の袖で涙を拭いて荷造りを再開した。
「泣くのは再会したとき!」
だから泣かないようにしなきゃ。
ポケモン図鑑はいつも使ってる鞄の中に入れてきずくすりも3つほど入れて残りは救急箱に直して段ボールに入れた。
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