22
わたしが言った事があまりにも衝撃的で2人は黙ってしまった。
「いつ、引っ越すんだよ…?」
最初に口が開いたのはグリーンくんだった。
「まだわからない…お母さんに頼んで2人が旅立つ日まで待ってもらおうと思ってる」
「……」
レッドくんは黙って聞いていた。
「引っ越す話が出たのが昨日なの。お母さんの研究でジョウトへ行く事になったの」
「そうか…ジルチと離ればなれになっちまうのか」
「ごめんね…」
「ジルチが謝る必要ないよ。一緒に旅に出れないのは残念だけど…」
少しの間、沈黙が続いた。わたしは俯きそうになったときグリーンくんが立ち上がった。
「だけどよ!離ればなれになっても旅の目標が一緒ならいつか会えるだろ?そうだろ!?」
「ジョウト地方もカントーと同じチャンピオンリーグだからそこで会えると思う」
レッドくんも立ち上がってわたしに手を差し伸ばした。
「目的地は一緒。近くにいなくても、寂しくても心は同じ」
「だからジルチ。一旦のお別れだと思えばいいんだぜ?そりゃオレだってジルチがいなくなるのは寂しいけどよ…前を向こうぜ?」
グリーンくんも手を差し伸ばした。わたしはそんな2人を見て泣きそうになった。
「そう、だよね…離ればなれなっても、わたしたちはまた会えるよね…!!」
わたしは2人の手を掴んで立ち上がった。
「お、おいぉぃ…泣くなよ」
グリーンくんはおどおどしながら空いた手の方でわたしの頭を撫でた。
「ジルチ。泣くのはまだ早いよ?」
レッドくんはわたしの手の上に空いた手を重ねた。
「な、泣いて…ないよ!悲しくて泣いてるわけじゃないから!」
「ほら泣いてんじゃん」
「違うってばっ」
泣いてるわたしを元気づけようとからかうのはわかるけど何度も言われるとイラっとくる。
「グリーンそこまでにした方が」
「グリーンくんのばかぁ!!」
「ふごっ」
両手が塞がってるのでグリーンくんに頭突きをした。
「あ、ごめん」
「いや、オレこそ…ごめん。でも元気でただろ?」
にししっと笑ったのでわたしもつられて笑った。
「ジルチは笑顔でいるのがいいよ。だから元気だして?」
「レッドくんありがとう、グリーンくんも。」
2人は黙って頷いた。
「そういえば2人ともいつ旅立つの?」
「明後日、母さんと旅の準備のためにタマムキシティのデパートに行くから…来週に旅立つつもり」
「オレもそうだぜ!じいちゃんもついてくるって言ってた」
「うん、わかった。お母さんに来週って伝えるね!」
わたしたちの旅立ちは来週に決まった。
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