水の都の巫女 | ナノ


07

 最初にアーティさんと会ったセントラルエリアへ行くと彼は手を振っていた。

「あっち!んぬん、ジムの方面だな!?」

「ジムを襲撃して私達の足止めするかも」

「あり得る!」

ジム近くにある建物近くまで来るとプラズマ団の格好をした3人組が見えた。建物の前でプラズマ団とアーティさんが睨み合っていた。

「……間違いなくココだね」

「「……」」

「いないいない!この中に仲間とか七賢人様はいない!ウソだと思うならオレと勝負してみるか?」

「仲間とか七賢人がいるみたいだから勝負する!」

「くそー!俺はこっちの弱そうなヤツらの相手をするからお前らまとめてあっちの強そうなヤツに向かえ」

「……ったく!というわけでジルチさん。そっちの相手はお任せするよ」

「任せてください。弱そうって決めつけた事を後悔させる!」

こうして、プラズマ団が出した2匹のメグロコはリオルがあっという間に倒した。

「んだよ!人のポケモン奪ったぐらいでマジかよ!!」

「奪ったからでしょ!!」

「マズイ……マズイマズイマズイマズイマズイマズイ。プラズマ団としてマズイ。縮めてプラズマズイ!」

「……」

「とりあえず七賢人様に報告しないと……!」

プラズマ団が慌てて建物内へ入っていったから中へ向かおうとしたらトウコさん達がやって来た。

「……はあ、迷っちゃった。ライブキャスターで説明されてもチンプンカンプンだよ!」

「ここにプラズマ団がいる。もしかしたら奪われたポケモンもいるかもしれない。じゃあ、ボクは行くよ!」

アーティさん中へ入ったから私達も建物内へ入った。まさかプラズマ団のアジトがジムの近くにあるなんてと思ったけど、ロケット団はジムをアジトにしてたのをレッドから聞いた事がある。悪の組織は意外と大胆なのかもしれない。
中にはプラズマ団と…2人の七賢人の間にゲーチスがいた。

「これはこれはジムリーダーのアーティさん。おや…?」

「!!」

ゲーチスと目が合った瞬間、鳥肌が立った。それに気づいたレッドとリオルが私の前に来てピカチュウはほっぺから電撃を軽く出した。後からトウコさん達も入ってきた。

「プラズマ団って、人が持っている物が欲しくなると盗っちゃう人達?」

「ポケモンジムの目の前に隠れ家を用意するのも面白いと思いましたが、意外に早くばれましたな」

「確かに……。まあ私達の素晴らしアジトは既にありますからね。さて、あなた方イッシュ地建国の伝説はご存知ですか?」

「知ってるよ!白いドラゴンポケモンでしょ!」

ゲーチスは七賢人達の前を歩いて語り出した。

「そう……多くの民が争っていた世界をどうしたらまとめられるか……?その真実を追い求めた英雄の元に現れ、知識を授け、歯向かう者には牙を向いた白いドラゴンポケモン……。英雄とポケモンのその姿、その力が皆の心をまとめ、イッシュを創りあげたのです」

「……」

「今一度!英雄とポケモンをこのイッシュに蘇らせ、人々の心を掴めば!意図も容易く私の……いや、プラズマ団の望む世界にできるのです!」

世界征服の野望が見え見えの演説にため息をつきそうになった。

「このヒウンにはたっくさんの人がいるよ。それぞれの考え、ライフスタイル、ほんっとバラバラ。正直、何を言ってるかわからない事もあるんだよねえ」

「はて」「何を?」

「だけど、ポケモンを大事にしているのは皆同じなんだよね。初めて出会う人ともポケモンを通じて話すんだ!勝負したり、交換したりね」

アーティさんはゲーチスの前に出て続きを話した。

「カラクサの演説だっけ?ポケモンとの付き合い方を考え直すきっかけをくれて感謝しているんだよ。そして、誓ったね……!もっともっとポケモンと真剣に向き合おうってね!あなた達のやっている事はこのようにポケモンと人の結び付きを強めるんじゃないの?」

あの場で聞いた時は人の手からポケモンを離すようにしか捉えれなかった。だけどアーティさんの言う通り、ポケモン達と共に生活している人達は付き合い方を考え直して、いい方向へ関係が良くなったかもしれない。

「フハハハ!掴み所がないようで思いの外、切れ者でしたか。私は頭のいい人間が大好きでしてね。王の為、世界各国から知識を持つ人間を集め、七賢人を名乗っているほどです。よろしい!ここは貴方の意見に免じ、引き上げましょう。そこの娘……ポケモンは返してやろう」

プラズマ団がムンナというポケモンを手放して、ムンナはすぐにベルさんの元へ飛び込んだ。

「あっありがとう!ムンちゃん!おかえり!!」

「おねーちゃん!!こいつら人の大事なポケモン盗っちゃった悪者なんだよ!?」

「ベル!こいつらに礼なんて言わなくていいの!」

「で、でもお。ムンナが無事で嬉しくて」

半泣きで喜ぶベルさんを見て安心したのも束の間、その雰囲気を壊すようにゲーチスは拍手をした。

「これは麗しいポケモンと人の友情!ですが、ポケモンを愚かな人間から自由にする。その為に伝説を再現し、人の心を操りますよ……。では、ごきげんよう……」

七賢人、プラズマ団が去る時にゲーチスはレッドの後ろにいる私を見て微笑んだ。

「……」

「またどこかで演説を見る機会があれば、是非」

「……」

プラズマ団が去ってようやく静かになった。ここは仮拠点で別にアジトがある事を知れたから収穫はあった。

「どーして悪いヤツを見逃しちゃったの!?」

「……んうん。だって、奪われたポケモンにもしもの事があればボク達はどうすればいいのさ?」

「大丈夫だよ、アイリスちゃん。ありがとう!みんなケガなかったし、何より大事なポケモンとこうやってまた会えたんだもん!」

「そっか……だったらいいんだけど……」

「で、皆はこれからどうするのさ?」

「私達はプラズマ団の情報を集めながら次の街へ向かいます」

「……あたしはヒウンシティをいろいろ見て周りたいけど……」

プラズマ団に襲われてポケモンを奪われた事が怖かったのか手が少し震えていた。

「だいじょーぶ!!あたしがベルおねーちゃんのボディーガード続けるから!!」

「アイリスちゃん……」

「んーいいねえ。アイリスはとびっきりのポケモントレーナーだけど、この街は苦手みたいだし、それにほら、人もポケモンも助け合い!助け合い!」

「あと、おねーちゃん!おにーちゃん!ポケモン探してくれてありがと。これあげる!」

アイリスさんからヤチェの実を受け取った。

「じゃーねー!!」「ちょ、ちょっとお」

「じゃあトウコさん、ジルチさん。ボクはジムで待ってるよ」

「あの、私ジムバッチを集める予定は…って、もう行っちゃった」

アイリスさんはベルさんを連れて、アーティさんはジムへ行くから建物から出ていった。

「ジム再開したのならジムに挑戦しよっとー!またね、ジルチさん!」

「またね」

トウコさんは駆け足でジムへ向かっていったのを見届けて今回の一件は無事に解決した。

「そういえば、博物館でチェレンとトウヤって子とバトルしたんだけど悪くなかったよ」

「へぇ…!いいなぁ!私はヤグルマの森でトウコさんとダブルバトルしたけど昔の私を見てるみたい。とりあえず攻撃!とにかく攻撃!ってね」

「とっしんの技が似合いそうだね。それじゃあ、次の街へ行こうか」

「だね!」

次の街を目指して4番道路へ向かった。


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