水の都の巫女 | ナノ


05

 確かに基本的に道は一本道でトレーナーもたくさんいたけど、リーフィアがテンション高くてあっという間に倒していった。

「ジルチさんって強いわね!アタシのポケモンより動きが速いし、攻撃も高い!」

「リーグ制覇してるからこれくらい勝てなきゃ元チャンピオンの名が廃るよ」

「チャンピオン!?どこの!?」

「カントージョウトリーグだよ。イッシュからすごく遠い地方だけど知ってる?」

「確か…えーっと、最年少のリーグ制覇者が2人いて、ドラゴン使いのチャンピオンがいる場所だっけ?」

「そうそう!」

「アタシもリーグ制覇目指してこの子と頑張ってるわ!」

トウコさんはポカブというポケモンを抱えて微笑んだ。
道なりに歩いて角を曲がったら独特の衣装を着たプラズマ団を見つけた。

「あっ!プラズマ団!!」

「しつこい子供め!追いかけられないようここで痛めつけてやる!!」

プラズマ団員はトウコさんと面識あるのか嫌な顔をしてボールを投げた。

「だったら逃げれないよう」『痛めつけたるわ!!』

リーフィアが戦闘に出てメグロコに対してリーフブレードの容赦のない一撃を与えた。メグロコの特性に威嚇があったけど全く効力がなかった。
私達はメグロコの下敷きになっている団員を見下ろした。

「ドラゴンの骨を返して!」

「残念!俺は何も持っていない。取り返すつもりなら―」

『オルァ!!』

「がはっ!!!」

団員が続きを言う前にリーフィアがメグロコの上に乗っかって黙らせた。

「行こっか!」

「あ、はい…」

何も言わなくなった団員を見たトウコさんは口元に手を押さて肩を震わせていた。

「容赦のなさもチャンピオン級…」

『リーフィア!最後まで言わせてあげなよ!』

『どーせロクな事言わんねんからええやん』

「……」

リオルとリーフィアが話してるのを聞きながら私はドラゴンの骨を持っている団員を探すべく周囲の人の波導を感じ取っていた。

「……森の奥、1人…2人いる。ん…?草むらに人が潜んでる……?」

「え、何でわかるの?」

「波導を使って感じ取ってるからだよ。……見つけた!」

森の奥にいる1人がドラゴンの骨を持っているのがわかった。トウコさんと共に森を駆けながらトレーナーと足止めしてきたプラズマ団を倒して、丸太の上を走っていくと探していたプラズマ団を見つけた。

「プラズマ団!ドラゴンの骨を返しなさい!」

「プラズマ団相手に容赦はしない!!」

「子供がここまで……ってちょっと待っ!!」

リオルとリーフィア、ポカブがプラズマ団に襲いかかって、近くにあった蔦で縛った。

「……わかった。盗んだ骨は返す!」

「こうなる前に最初から盗まなきゃよかったじゃない」

トウコさんは取り返したドラゴンの骨を抱えた。

「これで我らの……そして王様の望みが叶わなくなるのか……」

「王様?」

プラズマ団についての資料を見たけど王様の事なんて書いてなかった。ゲーチスやダークトリニティ以外にも厄介な役職があるのかと考えていたら私達の後ろから誰かがやって来た。

「大丈夫ですか。王様に忠誠を誓った仲間よ」

「七賢者様!」

「……誰」

団員が七賢者と呼んだ男は蔦を外しながら話し続けた。

「折角手に入れた骨をみすみす奪われるのは無念です」

「しかし…!」

「そっちが先に盗んだでしょーが!」

「いいのです。ドラゴンの骨ですが、今回は諦めましょう。調査の結果我々プラズマ団が探し求めている伝説のポケモンとは無関係でしたから」

「……伝説のポケモン」

イッシュ地方に伝わる神話に出てくる伝説のポケモン、ゼクロムとレシラム。理想と真実を求め双子の英雄にそれぞれ仕えたとされている。プラズマ団が伝説のポケモンを求めて何をするのかまだわからない。

「ですが、我々への妨害は見逃せません。2度と邪魔できないよう痛い目に遭ってもらいましょう」

「痛い目に遭うのはそっちだよ!」

『せやでー?怒ったら容赦せえへんのがオレらや!』

七賢者と呼ばれた男と一触即発な雰囲気になった時、後ろからアーティさんが駆けつけた。

「あぁよかった!虫ポケモンが騒ぐから来たら何だか偉そうな人いるし、さっき僕が倒しちゃった仲間を助けに来たの?」

「ジルチ!トウコ!アーティ!他の連中は何にも持ってなくてさ……。で、何だい。こいつが親玉かい?」

プラズマ団の親玉はゲーチスだからこの男は幹部といったところだと思った。

「私はプラズマ団七賢者の1人です。同じ七賢者のゲーチスは言葉を使い、ポケモンを解き放たせる!残りの七賢者は仲間に命令して実力でポケモンを奪い取らせる!」

「最低!」

「やり方が汚い…!」

「だが、これはちと分が悪いですな。虫ポケモン使いのアーティにノーマルポケモンの使い手アロエ。敵を知り、己を知れば百戦して危うからず……ここは素直に退きましょう」

ジムリーダーの事を知っていても流石に私の事は知らなかった模様。これでロケット団のように私の事を知っていたら厄介だった。

「ですが、我々はポケモンを解放する為、トレーナーからポケモンを奪う!ジムリーダーといえど、これ以上の妨害は許しませんよ。いずれ決着をつけるでしょう。では、その時をお楽しみに……」

団員が煙幕を使うと奴らは一瞬で姿をくらました。

「素早い連中だね。どうするアーティ。追いかけるかい?」

「いやぁ……盗まれた骨は取り返したし、あんまり追い詰めると何をしでかすかわかんないです。じゃあアロエ姉さん、僕戻りますから……。それじゃあは、ヒウンシティのポケモンジムで君達の挑戦を待ってるよ」

「首洗って待ってなさい!」

「うん。楽しみ楽しみ」

アーティさんは軽く手を振って立ち去った。

「トウコ!アンタの持っているそれが必死になって取り返してくれたドラゴンの骨なんだね」

「そうよ!」

「見たところ傷はつけられてないです」

「ジルチ、トウコ。本当にありがとうよ。アンタ達のように優しいトレーナーなら一緒にいるポケモンも幸せだよ」

『うん!』『せやで!』

トウコさんからドラゴンの骨を受け取ったアロエさんはポケットから何か取り出した。

「こいつはあたしの気持ちさ。大切に使っておくれ!」

「何?この石?」

「そいつは月の石!それを使う事で進化するポケモンもいるんだよ。さて、ドラゴンの骨を博物館に戻さないとね。じゃあ気をつけるんだよ!」

「はーい!」

月の石を受け取るとアロエさんは博物館へ戻っていった。

「私もレッドと合流するから博物館へ戻るね」

「うん!またどこかで会ったらよろしく!」

トウコさんと別れて、レッドと合流するのに博物館へ向かった。


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