水の都の巫女 | ナノ


14

 最後の継承の儀でリシアさんがレックウザの力を制御できるかバトルをしていた。見事にメガレックウザにメガシンカさせたリシアさんはヒガナさんのドラゴンポケモンをあっという間に倒していった。
最後のボーマンダが現れ、ヒガナさんはボーマンダをメガシンカをさせた。

「……」

メガレックウザの力は伝承通り凄まじいもので、その力を制御できているリシアさんが凄いと思った。攻防戦が続いて、リシアさんがこの1発で決めようとした時、また苦しみだした。

「レックウザ!ガリョウ…ッ、ぅ…ぐっ」

ついに倒れそうになったから慌ててリシアさんの元に駆けつけようと走った。横を見るとボーマンダがかえんほうしゃを放とうと口から炎を溢れ出していた。

「……!(このままじゃリシアさんがかえんほうしゃに巻き込まれるっ)」

リシアさんが立ち上がれないくらい苦しんでいるのを見て私は大声でレックウザに叫んだ。

「レックウザ!ガリョウテンセイ!!」

レックウザは私の指示を聞いて、ボーマンダに向かって急降下していった。

「リシアさん、しっかりしてくださいっ」

私はリシアさんに自分の波導を少し分け与えた。乱れていた波導が少しまとまって、立ち上がれるようにはなった。

「……おおきに、ジルチちゃん」

「どういたしまして」

リシアさんの顔色はあまりよくないままだから心配になってきた。
レックウザがメガシンカを解いたからヒガナさんの方を見ると、ボーマンダが倒れてメガシンカが解けていた。ヒガナさんはボーマンダを戻して私達の前に来た。

「……流石だよ、リシア。それにジルチ。最後に君が指示を出すなんて思いもしなかった」

「リシアさんが危なさそうだったので、つい」

「肝心なとこで倒れそうになったからホンマどないしようか思ったわ!」

「…………」

リシアさんが大丈夫そうに装っているからラティアスに頼んで近くのポケセンへ連れていかせようか考えた。

「……届けられたかな。……これで全て整ったよ。貴女達とレックウザならば、まもなくこの星にやってくる隕石にだって打ち勝てるはず」

「当たり前やん。何たってジルチちゃんはカントーの元チャンピオンで水の巫女やねんから」

「リシアさんこそホウエンの現チャンピオンじゃないですか!」

「せやな。……ジルチちゃん、そろそろロケットを打ち上げて巨大隕石を砕くと思う。上手く破壊できるかはわからんけど、レックウザと共に空へ飛んで飛来する隕石を破壊してくれへんか?」

「わかりました。リシアさんはどうするのですか?」

「うちはここを守りながら待機しとく。ジルチちゃんが大空へ行って、ここに帰ってくるのを待つわ」

「……無理はしないでくださいね?」

「んーまぁ、気いつけるわ」

これは絶対ダメだと思ってリオルに話しかけた。

「…リオル、リシアさんと一緒にここで待ってくれる?」

リオルは頷くと肩から飛び降りてリシアさんの足元に行った。何かあったらリオルからラティアス、ラティアスから私に何らか連絡をくれるはず。

「よろしくね。……レックウザ、背中に乗ってもいい?」

『無論だ 』

レックウザの許しを得たから翼を出して背中に飛び乗った。

「よっと……それでは、行ってきます」

「新たなる継承者ジルチ、頼んだよ。レックウザと一緒に自然を、ポケモンを、人々を守って」

「はい!」

私の返事を聞いたレックウザも雄叫びを上げて大空へ向かった。

「レックウザ、メガシンカ!」

レックウザの身体が光輝いてメガレックウザの姿になった。横を見ると金色の髭がゆらゆらと揺れている。

『古より受け継がれし水の巫女よ。巨大隕石は何かにぶつかり、少し砕けている。雲の上で迎え撃つとしよう』

「わかった!!」

雲の上まで飛ぶと、宇宙から迫りくる隕石が見えてきた。

「レックウザ、隕石が燃え上がってるけど大丈夫!?」

『我は大丈夫だが、其方は衝撃に備えた方がいいかもしれない』

念のためリフレクターを張って、身体に波導をまとった。

「ガリョウテンセイッ!!」

レックウザのガリョウテンセイで隕石を貫いて破壊したけど、小隕石がいくつか地上へ落ちていった。

「……(レッド、みんな…頑張って…!)」

『あれは…なんだ?』

「ん?」

破壊した隕石の中から三角形の妙な物が出てきた。気になってまじまじと見ていたら、いきなり素早く動き出して触手が出てきた。

「何あれっ!?気持ち悪い!!!」

三角形が砕け散ったと思えば中から人形のようなポケモン?と思わしき生物が出てきた。

「あれは……一体……?」

『来るぞッ』

「っ!?」

物凄い速さでレックウザに体当たりしてきたと思えば至近距離ではかいこうせんを放たれた。

『ぐぐぬ…っ』

「うわぁっ!?」

あまりの衝撃に私はレックウザから落ちてしまったけどすぐに体勢を整えて翼を出した。

『コイツの相手は我がする。其方は皆と共に小隕石の破壊をするがいいっ』

「レックウザだけで大丈夫なの!?」

『無論だっ!!』

レックウザは雄叫びを上げて正体不明の生物とバトルを始めた。私はレックウザに言われた通り、空から小隕石の破壊をする事にした。

「…っ!流石にこんな高く飛んだ事がないから風が…!!」

強い風で思うように飛べなくて苦戦していると突風に襲われた。

「きゃあ…っ」

思わず目を瞑って身を守るように丸まっていると、何かに受け止められた。

「……?」

『久しぶりだな、ジルチ。随分と高い所から落ちてきたな』

「……!ルギア!?どうして!?」

『スイクンから……いや、スイクンにある者がホウエンへ行くよう言ったらしい。それで我々も来た』

「我々もって…誰が来てるの?」

『エンテイにライコウ。あとは知らん』

「1番来なさそうな2匹が来るなんて…スイクン苦労したかも……」

『さて、ここに来る途中にいくつか小隕石を破壊したが他にも散らばってるようだな?』

「そう!だから空から先に破壊して地上にいる皆の負担を減らしたい!手伝ってくれる?」

『よかろう』

「ありがとう!!」

ルギアに乗って次々と落下していく小隕石を波導弾で破壊していった。途中で街が見えるギリギリの所まで下降して隕石を破壊していたから誰かに見られたかもしれない。


prev / next

[ 目次に戻る ]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -