水の都の巫女 | ナノ


04

 洞窟の中は静かだけど、どこか騒がしい感じがした。ボールからリオルを出して一緒に隕石の欠片を探すの手伝ってもらった。

「シンオウで新しいポケモンを手持ちに加えたんだね」

「波導使いのゲンさんから卵をもらって、孵ったのがリオルなの。カイリューは元気?」

「元気だよ。ほら」

お父さんがカイリューを出すと以前より逞しくなっていた。

「久しぶり、カイリュー!」

『久しぶりっ』

「元気にしてた?」

『うん。お父さんがいろんな事、教えてくれたよ』

「そうなんだね」

『まだまだ勉強中なんだけどね』

「頑張ってね。…っ!……この奥、誰かいる」

「何人いる?」

お父さんはカイリューをボールに戻して聞いてきた。

「1人と1匹、かな。そこに隕石の欠片がいっぱいあるみたいだから行こう」

「警戒しよう」

「うん」

奥へ行くと、そこには大きな壁画があって近くにいたゴニョゴニョと目が合った。

『…………ママー』

「どしたシガナ?………あら?キミは…」

「?」

壁画の前に黒髪の古い衣装を着た女の人がいて、私を見ると微笑んだ。

「はじめまして!……だったっけ?だったよね。私はヒガナ」

「私はジルチ」

「キミもここの壁画に興味があるのかな?」

「壁画も気になりますが…今は違います」

ヒガナさんは後ろにある壁画に目を向けた。何だか掴みどころがない雰囲気が出ていて話しにくい。

「じゃあキミの興味はこっちかな?天空に住む伝説ポケモン。そのパワーの源である、隕石の……欠片、ね」

「そうですよ」

ヒガナさんの手に隕石の欠片が握られていた。周りを見ると他にも隕石の欠片があるけどそれよりも小さいものばかりだった。

「……よしっ!決めたっ!いっちょ勝負しよっ!」

「勝負、ですか?」

「うん!一応聞いとくけど勝負の準備はばっちしかね?」

「大丈夫ですけど…何故バトルを?」

「まぁまぁ、細かい事はいいからさ!トレーナー同士、目が合ったらバトルの合図って言うでしょ?さあ!キミとポケモンの全力を!私達に味わわせて!」

ヒガナさんの狙いがわからないけどバトルをするというなら私は拒否しない。バトルをする事で何かわかるかもしれない。

「ゆけ!ガチゴラス!」

「いこう、シャワーズ!」

大きな顎が特徴のあるポケモンで見た目が岩タイプのような気がしたからシャワーズを出してみた。

「ハイドロポンプ!」

「おぉ…やるねえ!ガチゴラス、シャワーズにかみくだく!」

ハイドロポンプが当たった感じだと効果抜群ではなかった。岩タイプの他にタイプがあるかもしれない。

「れいとうビーム!」

かみくだこうと走ってきたガチゴラスに真正面かられいとうビームを放った。するとガチゴラスは悲鳴をあげて氷状態になった。

「ガチゴラス!」

「氷が弱点って事はドラゴンタイプもあるかな?シャワーズ!アクアテールで決めよう!」

氷状態のガチゴラスにおもいっきり尻尾をぶつけると、身体に付いた氷を砕きながら壁画手前まで飛ばした。ヒガナさんはガチゴラスを戻して次のボールを投げた。

「チルタリス!」

ふわもふの体毛を見ていると後ろにいるレッドの視線が痛かった。まだワタルさんのチルタリスの件で根に持っているのか…。

「…シャワーズ、まだいけるよね?」

『勿論』

「うん、念の為アクアリングで徐々に回復しよっか」

「させないよ!かえんほうしゃ!!」

「ハイドロポンプ!」

チルタリスのかえんほうしゃをハイドロポンプで消して、すぐにれいとうビームを放った。威力はあるけどワタルさんのチルタリスほど強くないかもしれない。2発目のれいとうビームでチルタリスは地に落ちた。

「ボーマンダ!かみなりのキバ!」

「…シャワーズ、ハイドロポンプ!」

電気タイプの技を持ってるならできるだけ近づいてほしくない。近づいてきたらハイドロポンプで押し返して、最後はれいとうビームで決めた。

「うんうん!いいねえ!さすがだねえ!」

ヒガナさんは倒れたボーマンダをボールに戻して満足そうに頷いた。

「いいねえ!グッときたよ!グッドポイントゲットだよ!ジルチ!じゃあご褒美に隕石の欠片を進呈しちゃおうかな」

ヒガナさんは隕石の欠片を渡して私の横を通りすぎる時、私にしか聞こえないような小声で話しかけてきた。

「……キミはどこまで真実を知った上で、何を自分の理想とした上で行動しているんだろうね?」

「え……」

『………………ママー』

「はいよ〜もう、甘えん坊さんシガナめ〜。さてと、次はどこへ行こうかねえ。シガナ〜」

意味深な言葉を言って、ヒガナさんとシガナと呼ばれたゴニョゴニョは一緒に壁画のある場所を出ていった。

「あの服装…まさか」

「お父さん?」

何か知ってそうな感じな口ぶりをするから詳しく聞こうとしたらポケットにあるポケナビが鳴って、液晶を見たらダイゴさんからだった。

「もしもし」

[……ジルチちゃん、隕石の欠片は手に入れられたかい……?]

「無事に手に入れましたよ」

[よかった。悪いけどトクサネ宇宙センターまで急いで来てくれないかな?どうやらあまり時間がないみたいなんだ……]

「わかりました。すぐにトクサネに向かいます」

[……ではね、待っているよ]

ポケナビをポケットに入れてヒガナさんの言った言葉を思い出した。

「……自分の理想、か」

この事件で自分の理想とは何なのか、今の自分は何を考えて行動しているのか…左手にある隕石の欠片を見てどうしたいのか考えた。


prev / next

[ 目次に戻る ]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -