水の都の巫女 | ナノ


02

 カナズミのデボンコーポレーションに着いて中へ入ると早速社長室へ案内された。まさか社長室へ案内されるとは思わなかったから緊張しつつドアをノックした。

「どうぞ」

「失礼します」

ダイゴさんの声がしたから中へ入るとダイゴさんの他に女の人がいた。緑髪のポニーテールで私より年上だと思った。

「ジルチちゃん。いきなり呼び出してすまなかったね」

「大丈夫ですよ」

「紹介するよ。彼女はリシア!前に話したホウエンのチャンピオンだよ」

「ダイゴ、2人でチャンピオンやろ?」

「そうだね。で、こっちがデボンコーポレーションの社長…ボクのオヤジ」

「随分と雑な紹介をされたがツワブキだ!」

「では私達も自己紹介を…私は元カントージョウトのチャンピオン、ジルチです。彼も同じくチャンピオン歴のあるレッドです。そして後ろにいるのが私の父です」

「よろしくお願いします」

「サフィラスだ。よろしく」

「こちらこそよろしくな、ジルチちゃん、レッド君にサフィラスさん!」

お互い自己紹介が終わって本題に移った。この場に4人のチャンピオンがいるなんて、なかなかない機会だと思った。

「……さて、皆さん。ここから少し長くてなかなかにヘヴィな話をするつもりのわしなのだがね。どうだね?心の準備はオッケイかね?」

「大丈夫です」

「…オッケイ」

ツワブキ社長の話す重い話とは巨大隕石にどう繋がるのか気になった。

「ふむ……それでは始めようか。まず、話は3000年前に遡る。遠い地方で大きな戦争があった。その戦争はね、ある男の造り出した兵器によって終わりを迎えたんだ」

「……」

「そんな凄まじい兵器のエネルギー源はなんだったのか?君達にはわかるかい?」

「…いえ」

昔に使われた兵器のエネルギー源が何かわからなかった。自然のエネルギーを活用したのかと思っていたらリシアさんがポツリと言った。

「ポケモンの生態エネルギー…」

「!!」

「……そう。ポケモンの生態エネルギーだったんだよ。ポケモン達の犠牲によって得られるエネルギー……そんなものとんでもないと言う人々も多いだろう。でもね、先代の社長であるわしのじいさんはこう思った。"このエネルギーを活用して、人々やポケモンの暮らしを豊かにできないものか"……と」

生き物の生態エネルギーを活用して、生き物の暮らしは豊かになるかと言われるとならないような気がしてならない。

「そうして開発したのが我がデボンコーポレーションの誇る∞エナジーでね。∞エナジーのお陰でデボンはホウエンのトップ企業となり、今の規模にまで成長したんだよ。……そうして我々は更なる人類の発展の為、宇宙開発事業に進出した。∞エナジーを燃料とするトクサネ宇宙センターのロケット……あれは我々の夢と情熱と技術を結集した成果なんだ。……まさか、それが世界を救う希望となるとは思っていなかったがね」

その∞エナジーを燃料にしたロケットを打ち上げて隕石を破壊するのかなと思った。

「前置きが長くなってしまったが、ここからが本題だ。今我々に迫る圧倒的な脅威―直径10kmを越える巨大隕石がこの星に衝突しようとしている……!その危機をいち早くキャッチしたトクサネ宇宙センターと我々は協力し、ロケットを用いた作戦を計画をしてるんだが……その計画の為に隕石の欠片が必要になってね」

「隕石の欠片、ですか?」

「……なるほど、ね。その隕石の欠片とやらを取りに行かせたいってわけか」

「うむうむ!さすがは我が息子!物分かりが早いな!」

「別にそんな事で褒められても嬉しくないよ……」

「それで君達の誰かに石の洞窟に向かってもらいたい。調査の結果によれば、そこに我々の求める隕石の欠片があるはずだ。そしてダイゴ、お前には先に宇宙センターへ向かってもらいたい。さっき渡した通信ケーブルの接続準備を進めておいてくれ」

「通信ケーブル……ワープシステムの……だね。了解」

「じゃあ私達が石の洞窟に言って隕石の欠片を取りに行きます」

「ありがとう。石の洞窟の場所はわかるかい?」

「大丈夫ですよ。あ、ダイゴさん…後でちょっと、いいですか?」

「キミ達の…だね」

私は静かに頷くとリシアさんと目が合った。そうだ、リシアさんにも知ってもらいたいから一緒に話を聞いてもらわないとと思った。


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