水の都の巫女 | ナノ


10

 リオルが生まれてしばらく経った時にボールに入れてない事を思い出した。ガンテツさんに作ってもらったフレンドボールを持っていたから1度中に入れた。

『ボールの中よりジルチのそばにいたい!』

「可愛いこと言うねーリオル!」

『何や?オレかってずっとそう思ってたんやけど?アサギまでの道を走った時は最高の気温やった…』

「あの時は心地いい風吹いてたね。モーモーミルクを久しぶりに飲みたくなってきた…」

『それって美味しいの!?』

「美味しいよ!見つけたら買おっか!」

『やったぁ!』

そのあとリオルのブレイズキックやリーフィアのリーフブレードをリフレクターで受け止めて特訓しているとラティアスが慌ててやって来た。

「ジルチ!」

「…っと。どうしたの?」

「兄さんがっ!」

「お父さんがどうしたの!?」

ラティアスの様子を見ているとただ事ではないと思った。近くにいたレッドとゲンさんも駆けつけた。

『とりあえず…直接話さなきゃ!』

ラティアスの目が白く輝くと周りの風景が一気に変わった。これがゆめうつしなのか…と思っていると都の様子が写った。

「ほお…これはすごい」

「…ホウエンの都だね」

『あぁ、よかった。ホウエンからシンオウまで遠いけど伝わるみたいだね。今、ジルチ達が見えているのは僕が見ている光景そのものだ』

「お父さん、一体何があったの?」

『……落ち着いて聞いてくれないか?巨大な隕石がホウエンの海に向かってきている。歴史上、1番大きくて…下手すればホウエンだけじゃなく、この星そのものが滅ぶかもしれない』

「「!!」」

『止める方法はあると言えばあるけど…成功するかどうか微妙なところだ。とにかく、こっちに帰ってこれそうかい?』

「波導を使えるようになったから私は大丈夫だよ!すぐにホウエンへ帰るね!!」

『わかった。家で待ってる』

ふ…っと景色が元に戻って、ラティアスはため息をついた。

『まさか…隕石が…』

「……急いでホウエンへ帰ろう!ゲンさん、ルカリオ。今までお世話になりました!」

「君達のおかげで楽しい日々が送れたよ。大変な事になっているけど君なら大丈夫だろう」

「はい、何とかしてみせます!」

「リオルの卵の殻を持ってこよう。その間に準備をしておくんだよ」

「ありがとうございます!」

ゲンさんは家に置いてた卵の殻の袋を取りに行ってくれた。その間に私達は忘れ物はないかと確認し合っていた。

『ジルチ、レッド!ホウエンまで飛ばすよ!!』

「わかった!無理はしないでね」

私はリーフィアとリオルをボールに戻してからレッドと一緒にラティアスの背中に飛び乗った。ゲンさんから袋を受け取って鞄にしまった。

「行ってきます!!」

「波導の使いすぎには気を付けてるんだよー!」

だんだん小さくなっていく鋼鉄島を見てから左手をラティアスに向けた。

「いくよ、ラティアス!」

『いつでもいいよ!』

「メガシンカ!!」

強い光が私達を包み込んで周りに綺麗に光の粉が弾けた。ラティアスの赤色の体毛から紫色になって更に速くなった。
私達は急いでお父さんのいるホウエンへ向かった。

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