水の都の巫女 | ナノ


09

 ミオに着いてから街中を歩いたり、いろんな店に入ってみた。人やポケモンが結構いる事にリオルは驚いていた。
息抜きにミオの図書館へ行ってシンオウの神話について書かれている本を片っ端から読み漁っていた。

『ジルチは難しい本を読むのがスキ?』

「…うん、そうだね。お母さんの影響だけど…その地方に伝わる伝承、いろんな事を知るともっと知りたくなるの」

『へえ…ジルチが本を読んでいる時、とても楽しい波導が出てる!だからぼくも何だか楽しい!』

「そうなんだ?そう言えばさっき波導の勇者の絵本を見つけたからあとで一緒に読もっか」

『やったぁ!』

神話やこの地方にあるプレートについてある程度知れたから膝の上で寝ているリーフィアを抱え、見つけた絵本を持って中庭へ移動した。近くに姿を隠したラティアスがふわふわと飛んでいるのがわかった。

「ちょうど木陰になってるからここでいいかな?」

『いいよ!』

ベンチに座ってリーフィアを隣にソッと置いた。肩に乗ってたリオルは私の膝に移動して待機している。

「むかしむかし、モンスターボールがなかった時代の話。平和を愛するオルドラン城の王女、リーン様が―」

その絵本は1人の波導使いとその従者、ルカリオが共に戦い、争いを止めて平和が訪れた話。そのロータという街はお月見山を越えた先にあると最後の詳細に書いてあった。

『この人たちスゴいね!進化したらぼくも波導を使ってジルチを助けれるかな?』

「リオルならできるよ。そうだ、鋼鉄島に戻ったら一緒に特訓しよ!」

『うん!ぼく、頑張る!』

「そうと決まったら…鋼鉄島に戻る?」

後ろからレッドが話しかけてきて、手にはリザードンのボールを持っていた。

「帰りは飛ぶの?」

「空から見る景色を見せようかなって」

「確かにそれはいいかも」

『ね!あたしとどっちが速いか競争しない?』

いつの間にか目の前に姿を現したラティアスがいて、レッドに勝負を申し込んだ。

「へえ、僕達に勝負を挑むんだ?」

『うん!負けないよ!』

ラティアスとリザードンの飛行対決になって図書館へ出ると2匹はやる気満々だった。レッドとピカチュウがリザードンに乗って、私とリオルがラティアスに乗った。リーフィアは寝ているうちにボールに戻しておいた。

「準備はいい?」

「OK!」

「「よー…い」」

「「ドン!!」」

2匹は勢いよく飛んで大空を物凄い速さで飛んでいた。

『わぁ…っ!速い!!』

『まだまだいけるよー!!』

「僕らもまだまだいけるさ!頑張ろう、リザードン!!」

風を切るような音を聞きながら景色を眺めていると鋼鉄島が見えてきた。

「リザードン、ラストスパートだ!」

「ここまで来たなら勝とう、ラティアス!」

『もちろん!!』

ゲンさんの家が見えて2匹は急降下し始めた。さすがに速さがあるから少し怖かったけど、地面が近くなった時にラティアスから飛び降りて自分の翼で減速しながら着地した。

「よっと!」

『ジルチも飛べるの!?』

「ラティアスほど速くないけど飛べるよ」

『スゴい…!!』

リオルの尊敬の眼差しが凄く眩しく見えた。
軽く一回転をしながらラティアスが降りてきた。

「あーもうっ!悔しいけど引き分けだよ!」

「お疲れ様、リザードン。もう少しで勝てたね」

『2人とも、空の移動スゴかった!!ありがとう!』

「へええーっどういたしまして!」

「いつでもリザードンの背中に乗せて飛んであげるよ」

『やった!』

皆で話してると家からゲンさんとルカリオが出てきた。

「おかえり。物凄い速さで飛んできたね」

「リザードンと競争してたんだーっ。引き分けだったけどね…」

「速さを鍛える為にジルチと一緒に修行をするかい?」

「それは遠慮しとく!」

「ははは、ラティアスに断られてしまったよ」

『リオル、共に修行をしよう!』

『お願いしますっ!』

『まずは鋼鉄島の高い山を登ろう!着いてきなよ!』

『はい!』

ルカリオとリオルは一緒に走って鋼鉄島にある1番高い山へ向かっていった。

「私はこっそりついて行こっと!」

「あの2匹、何だか兄弟のような師弟関係だね」

「ルカリオが率先して修行に誘うなんてよほどリオルが生まれた事が嬉しかったんだろう。ジルチ、夕飯までに戻ってくるよう伝えてくれるかい?」

「任せてください!」

私は翼を出して空へ高く飛んだ瞬間、姿を消した。ようやく2匹に追いついて様子を見ていると、険しい道を頑張って走っているリオルの目は真剣そのものだった。


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