水の都の巫女 | ナノ


帰り道(レッド/12話後)1

 ジルチを家まで送ったあとの帰り道、左を曲がれば家はもうすぐってときに前方から人影が見えた。

「よぉーレッド〜?随分ゴキゲンさんじゃねぇか…?」

今一番会いたくない厄介なやつに出くわしてしまった。

「…グリーン何の用?遅くまで遊んでたらお姉さん心配するよ」

「オレは姉ちゃんにお使いを頼まれて今その帰りだ!」

グリーンは少し大きな声で言いながらずかずかと歩いてきた。

「それよりレッド、抜け駆けはよくねぇぞ」

「抜け駆けって…何のこと?」

ぼくはわざととぼけた。

「オレは知ってるぜ。今日ジルチと"2人"で遊んだだろ!ピカチュウと一緒に!」

グリーンは2人の部分を強調していってきた。
どうやらオーキド博士から聞いたみたいだ。

「オレだってジルチと2人で遊んでみてぇよ!」

ガッと両肩を掴まれて揺さぶられた。…肩痛いんだけど。

「…誘えばいいじゃん」

「そう簡単に誘えたら苦労しねぇよ!?」

バッと離したと思えば今度はグリーンの頭を抱えていた。今のグリーンはいつもよりおかしい。
ずっとレッドに先越された、オレに勇気があればだの言ってる。

「グリーン…ぼく、帰るよ」

ぼくはそっとしておいた方がいいと思ってグリーンの横を通りすぎて家へ向かって歩き出した途端、次は右腕を掴まれた

「レッド!どうやってジルチを誘ったんだっ!!」

ライバルの意地なのか必死な顔して聞いてきたからびっくりした。

「普通に遊ぼうって誘った」

間違ってはいない、細かく言ってないだけ。

「うそ…だろ?」

グリーンがマジかよとゆう顔してこっちを見てくる。いやマジだし。

「オレ誘う流れはなかったのかよ!?」

「なかった」

「ぐっ」

グリーンが少し涙眼になりながら固まった。

「絶対ジルチを誘ってやる!レッドに負けるもんかぁぁあっ!!!」

大声で叫んでグリーンは自分の家へ向かって全力疾走した。
ぼくはやっと静かになった帰り道を再び歩き出した。

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