07
鋼鉄島での修行生活が数週間が過ぎた。あれから物質のオーラがはっきりとわかるようになって、今は自分の持つ波導を操る特訓をしている。
「…はあっ!!」
『波導弾に込めた波導がまとまっていない!』
私が放った波導弾はルカリオのボーンラッシュで簡単に打ち消された。
それから精神統一をしているうちに自分の波導を感じるようになった。その結果、私にあるポケモンの持つ波導の流れが元に戻って右目も治った。
「ぐぬぬ…っ」
『もう1度!』
「せいやっ!」
手にさらに波導を込めてルカリオにめがけて放った。遠くで私とルカリオとの特訓を見ていたゲンさんが話しかけてきた。
「コツを掴んだ途端、急激に成長したね」
「目が元に戻ったからかもしれませんよ。あれからすごく快調ですっ」
2発目は簡単に打ち消されず、横へ飛ばされていった。ふと、後ろからラティアスが姿を消してる状態で近づいてきたから上に飛んで背中に乗った。
『もう後ろからちょっかいかけれないのは悔しいなーっ』
「波導でわかるようになったからね!大分遠い場所まで波導で見渡せるようになったよ」
『すごーいっ』
ラティアスの背中から降りるとルカリオはボーンラッシュで攻撃をしてきたから後ろへ避けた。
「その骨の棒って波導で作ってるの?」
『そうだけど?』
「10万ボルトの電撃を波導を使って棒みたいにする事って可能かなっ?」
次々と攻撃を避けていると背中に岩が当たった。
『それはジルチ自身がやってみないとわからない』
これで決めると大きく振ったボーンラッシュを上に飛び避けてルカリオの背後に着地した。ルカリオが振り向いた時には私の手に波導弾を構えていた。
『…うん、悪くない動きだね』
「ありがと」
首に巻いてたタオルで汗を拭いてるとゲンさんが何か大切そうに抱えているのに気づいた。
「ゲンさん、それは……」
「あぁ、これはポケモンの卵だ」
「博士やお母さんからポケモンの卵の話をよく聞いてましたけど…実物は初めて見ました!」
「そうなのかい?…そうだ!よければこの卵、君がもらってくれないか?」
「えっ?いいんですか?」
「もちろん。修行を終えたらまた旅に出るんだろ?」
「そうですね。またホウエンへ戻って波導を習得したってお父さんに報告をします。上手に育てれるかな…?」
ゲンさんから卵を受け取って大事に抱えた。波導で調べてみたけど何が生まれるのかまだわからなかった。
ゆめうつしでお父さんと連絡できると思っていたけど何だか忙しいらしく、なかなか話ができなかった。
「ありがとう!その卵から生まれてくるポケモンにいろんな世界を見せてあげてほしい」
「わかりました!どんな子が生まれるのか楽しみですっ」
「最近身体を動かしてばかりだから卵を暖めている間はゆっくり休むといいよ。休息は大切だ」
「快調だからつい…卵が孵ったら電撃を波導でまとめれるか練習しよっと!」
ポケモンの卵をもらって上機嫌になっているとレッドが買い出しから帰ってきた。
「レッド!お帰りっ」
「ただいま。それポケモンの卵?」
「うん!ゲンさんからもらったの!」
「何生まれるか楽しみだね」
レッドは卵を優しく撫でて微笑んだ。ヨーギラスも生まれて間もない頃に出会ったから育てるのに苦労はしないと思うけど、孵るまでの間に不安がある。
『ジルチ、チョコ一緒に食べよっ』
「うん!今日の修行はここまでだね」
ルカリオからチョコを分けてもらって一口で食べた。その様子を見ていたレッドが思い出したかのように買い物袋を漁った。
「そういえばジルチが好きそうな味のラスクがあったから買ってきたよ」
「ありがとうっ。木苺ラスク…美味しそう…っ!!」
『ジルチ!家に帰って食べようよ!!』
「そうだね!」
『あたしも食べるっ!』
「帰ったらコーヒーを用意しよう」
「ルカリオ達の板チョコも買い足したよ」
『やった!ありがとう、レッド!』
ラティアス、ルカリオと一緒に木苺ラスクが楽しみと言いながら皆で家へ戻った。そして木苺ラスクはほんのり甘酸っぱさがあってとても美味しかった。
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