水の都の巫女 | ナノ


05

 次の相手がルカリオとわかったのはいいけどライボルトかバクフーンのどちらを出すか悩んでいた。すると腰にあるボールから勝手に誰かが出てきた。

「ちょっと…?」

肩をぽんと叩かれた時に暖かく感じたからすぐにバクフーンだとわかった。心なしかバクフーンの周りが熱い。さっきのバトルで何だか周りの光景がわかってきたような気がする。

「バクフーンが戦うの?」

『グルルッ』

何だかご機嫌な返事が返ってきてバクフーンは私の前に立った。

「陽炎を作り出すくらい燃え上がってるとは…戦う準備ができてるみたいだね!」

「バクフーン頑張ろっ」

「その闘志…どれ程のものか見せてもらおう!ルカリオ、しんそくだ」

「!!」

『グッ』

ルカリオのしんそくが今まで見てきた中で1番速かった。開始早々、強烈なパンチを食らってバクフーンは吠えた。

「やられたら10倍でやり返す!バクフーン、だいもんじ!!」

豪快に炎を吐いて大の文字がルカリオを襲った。

「やってみるか…!ブレイズキック!」

ルカリオの足に炎がまとい、だいもんじに向かって飛び込んできた。私はまさか避けずに飛び込んでくるとは思わなくて驚いた。

「あのだいもんじ凄まじい威力なのに勇気あるねっ!」

「だいもんじをブレイズキックで飛び込む事で炎同士をぶつけて威力を軽減させたんだ」

「相手の実力を見謝ったら返り討ちに遭うけどね。今のは…少し危ない駆け引きだったかもしれない」

「私も似たような事をよくしますよ」

レッドとラティアスの会話を聞いて何だか私も似たような戦い方をしてるな、と思った。

「そうなのかい?」

「攻撃は最大の防御!でも避ける時は避けますよ」

ね?っとバクフーンに確認すると短く鳴いて返事をしてくれた。3番目に仲間になった彼はシャワーズと戦う時、悲鳴を上げながら逃げ回っていたのに今では水に消されないくらいの高温の炎を出せばいいと考えるようになった。

「…なるほど。話を聞いた感じじゃ複雑な子だと思っていたけど…どうやら結構素直で真っ直ぐのようだね」

「あと負けず嫌い」

「甘い物好き!」

レッドとラティアスが次々と私の事を言ってくるのを聞きながら次はどう仕掛けるか考えた。

「バクフーン、かえんほうしゃ!」

「交わせ!ルカリオ」

バクフーンのかえんほうしゃを次々と交わしていった。会った時から素早いと思っていたけどこれ程とは思わなかった。

「インファイト」

「バクフーン!」

ルカリオがインファイトで守りを捨ててバクフーンの懐に攻め込んできたから今しかないと思った。

「ブラストバーン!!」

「!」『!』

周りに火柱を噴出してるから熱気が凄かった。インファイトとブラストバーンがお互い同時に当たった感じがしたから2匹は深手を負っているかもしれない。
私達は状況を見守っていると火柱が消えて熱がこもった風が吹いた。

『グ…ルル…ッ』『くっ』

「えっと…お互いまだ戦えるのかな……?」

『まだ、戦えるッ!』

『グルルッ!!』

「「………」」

戦う気満々だけど2匹は倒れる寸前になるぐらいまでボロボロになっていた。

「ルカリオ、この勝負は引き分けだよ」

『何故ですかッ!』

「バクフーン、ゲンさんの言う通りかもね」

『グルルルッ!』

2匹は引き分けでバトル終了するのが不服で抗議してきた。

「じゃあルカリオ。バクフーンは反動で動けないからボーンラッシュで攻撃してごらん」

『それくらい簡単に…』

ルカリオは骨の棒を作り出して殴りかかろうとしたら手に持っていた棒が煙になって消えた。

『…!!』

「バクフーン、反動で動けないのもあるかもしれないけど…疲れて炎が満足に出ないと思うよ」

『グ…』

バクフーンは口から炎を吐こうとしたけど煙しか出ていないのがわかった。2匹は出せる力を出し切っているのがわかって大人しくなった。


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