水の都の巫女 | ナノ


04

 1つやけに揺れたボールがあったからそのボールを掴んで高く投げた。ボールから出てきた途端、周りの空気が変わったような気がしたからリーフィアだと思った。

『リィー!』

「あ、やっぱりリーフィアだね。出てきた時に何となくそうだと思ったよ」

リーフィアはここにいる、と膝をトントン叩いた。私が頭を撫でてあげようとしゃがんだ瞬間、強烈なタックルをお腹に食らって尻餅をついた。

「ちょっとリーフィア?私が見えてないからってタックルをしなくても……」

「リーフィアは君の修行に協力するみたいだね。相手はリーフィアか…なら私はアブソルでいこう!」

少し離れた所からアブソルの鳴き声が聞こえた。バトルの審判はラティアスが担当する事になった。

「じゃ!バトル開始ーっ」

「リーフィア!」「アブソル」

「「つるぎのまい!」」

同時につるぎのまいを舞って2匹は地面を蹴って走り出した。見えないから周りから聞こえる音、地面から伝わる震動で判断するしかない。

「リーフブレード!」

「つじぎり!」

キンッ!と鋭い物同士がぶつかり合う音が聞こえて、リーフィアの普段の行動を考えると何度もリーフブレードで襲いかかるはず。タイミングが合わなかったらリーフィアが戸惑うかもしれないから指示を出すのが慎重になった。

「アブソル、でんこうせっかだ」

「アブソルが動いた!リーフィア、タネばくだん!」

アブソルとの距離感はわからない、だけどリーフィアならどの辺りにタネばくだんを放つべきかわかっていると思う。爆発音がなると周りの石が砕けて煙が立ったのを肌で感じた。
近くにリーフィアがいるのを感じると光を蓄えてるのがわかった。

「っ!このタネばくだんは目眩ましかっ。放つ前に阻止しないと…アブソル、サイコカッター!」

「させないっ放て!ソーラービーム!!」

アブソルが放った刃をソーラービームはまるごと飲み込んでそのままアブソルを襲った。しかし、確かな手応えはあったけどアブソルは倒れなかった。

「アブソル、でんこうせっか!」

「…っ!」

「お互いの心は通じ合っていて、いいコンビネーションだ。指示を出すタイミングや場所、狙い…目隠しをしている状態なのになかなかなもの……」

「結構慎重になってますけどね」

「そうだろうね。今、感じ取っているのは元々君に備わっているものだろう。もっと、深く、物質の形がわかるように感じ取るんだ」

「深く…?」

「そう、今の状況を説明できるかい?」

「今ですか?でんこうせっかで詰め寄ったアブソルに対してリーフィアはリーフブレードで対抗してて…」

リーフィアがアブソルの角に切りつけた際に高く飛び上がって背後に回ったのがわかった。……"わかった"?

「感じたじゃなくて"わかった"って思った?」

「!!」

「ジルチ、その調子だよ」

「はいっ!」

リーフィアはアブソルとの距離ができたらすぐにつるぎのまいを舞っている。少しずつ、確実に攻撃を当てて倒す為に…アブソルも隙あらばつるぎのまいを舞っているから油断は禁物。

「リーフィア、タネばくだん!」

「次は目眩ましではなさそうだね!サイコカッターで薙ぎ払うんだっ」

何個かアブソルの上に投げつけたタネばくだんはサイコカッターで迎撃されていった。そして再び放たれたサイコカッターがリーフィアを狙った。

「…右っ!」

「!」

何か一瞬見えたような気がして、とっさに右へ避けるようリーフィアに指示を出した。

「リーフブレード!」

自慢の速さを活かしてほぼ真横からアブソルに向かってリーフブレードで切りつけた。急所に入ったのかアブソルは短く鳴いて地面に倒れた。

「お見事」

「よし…!」

「いい感じだね。次はルカリオで勝負だ。ジルチはどうする?リーフィアで挑むかい?それとも交代する?」

「交代します!リーフィア、ありがと」

走ってくる気配がしてしゃがむとまたタックルをしてきそうだったから身構えた。助走をつけてタックルをしてこようとしたリーフィアを上手く掴まえて高い高いした。


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