水の都の巫女 | ナノ


03

 ゲンさんとルカリオと一緒にいつも修行をしている場所へ案内してもらった。
私の目の問題を解決するには波導を操る技を習得して自身のエネルギー…波導の流れをコントロールするしかないらしい。
こうして私はゲンさんとルカリオと共に鋼鉄島で波導の修行をする事になった。その間はゲンさんの家に泊まらせてくれるとの事。

「ここが私達が普段修行をしている場所の1つだ。波導を感じてわかったが、ジルチは2種類の波導がある。1つは私達、人が持つ波導、もう1つはルカリオ達、ポケモンが持つ波導だ。その2つは一言で言ってしまえば同じ分類の波導だが多少違いはある。君が知り合いに言われた通り、ポケモンが持つ波導に少し乱れている…それを治すにはまず、物質の波導を感じ取れるようにならないといけない」

「かなり…難しい事ですよね」

「そうだね。でも君はそのポケモンの力を持っているからコツさえ掴めばすぐ習得はできると思うよ」

「そうですか?」

「うん。だから物質の波導を感じ取れるように五感をもっと鍛える必要がある。君がルカリオの敵意を感じ、波導弾を交わしたのならあと少しだろう。そうなればこの方法がいい」

ゲンさんはジャケットのポケットから細い布を取り出した。

「言葉で表現をすると物質にはそれぞれオーラがあって、私達は青白い感じに認識している。君にもそういった物を認識してもらいたい。それがわかるようになるまで目隠しの状態で過ごしてもらう」

「えっと…修行をしている間ですか?」

「認識できるまでだ」

「鋼鉄島から出る時もですか?」

「もちろん、認識できるまで付けたままだ。最初は慣れないだろうけど修行の一環だと思って頑張ってね。2人…でいいのだろうか?君達もジルチに協力してくれるかい?」

『姿を隠して後ろからたいあたりしたり、とか?』

「それでも構わないよ。気配だけじゃなく、波導を感じて交わせれるようになればいい修行になる」

「ジルチはドジする時があるのでそばにいます」

「修行中の単独行動は危険があるかもしれないからね。うっかりボスゴドラの巣に入っても…いや、まぁそれも修行になるかもしれない」

「わかりました」

「……レッド、わざとポケモンの巣に誘導しないでよ?」

仮に入ったとしてもこの島に住むポケモンの相手ならピカチュウ1匹でどうとでもできる。だからと言って入られても困る話だ。

「大丈夫。そんな事をすればこの島に住むポケモンに迷惑をかけてしまうからしないよ。向こうから手を出してきたら話は別だけど」

「まぁ、そうだよね。…じゃ、修行を始めようっ」

私はゲンさんから布を受け取って目元を隠した。明るい所にいるから多少の明るさを感じたけど、だんだんその明るさがなくなっていった。
波導を認識できるまでこの闇に近い環境で過ごすって思うと、精神面も鍛えなければ挫折しそうな感じがした。

「……」

「目に見えるものばかりを信じるんじゃなく、見えないものを感じ取る事も大事だと私は思う。それと色々語り合うよりポケモン勝負するのが私の流儀だったりする」

「そうなんですか?」

「トレーナー同士の挨拶はポケモン勝負がいいと思う。その方が相手の事がわかりやすいからね」

「それ、わかります」

「僕も同意見」

ソウルと初めてバトルをした時は印象がすごく悪かった。だけど旅の途中で何度か会ったり、バトルをしているうちにソウルがいい方向へ変わっていったのを感じた。その結果、ポケモン達の関係がよくなって強くなってきたのは本当によかったと思う。

「君達さえよければ私と勝負してほしい。私は攻撃力が高いポケモンを扱うトレーナーだ」

「もちろん!」

「いいですよ!」

少し平らになっている場所へ移動して、私とレッドはどっちが先にゲンさんとバトルをするかじゃんけんをした。

「最初は…」

「グー、」

「「じゃんけん…っ」」

「「ほいっ!」」

私はチョキを出したつもりだけどレッドが何を出したかわからなかった。波導が使えたらその辺りもわかるんだろうなーと思っていると肩を叩かれた。

「ジルチの勝ちだよ」

「そうなの?」

「ジルチが勝ってるからまずは君が相手だ。2体勝負でいいかな?」

「いいですよ!」

「目隠しの状態でのポケモン勝負は意外と難しい。パートナーとの信頼が勝敗の鍵を握るかもね」

「なるほど…面白いですねっ!」

もしルカリオが相手なら炎タイプのバクフーンや炎タイプの技を持つライボルトがいいかもしれないけど、その辺りの策はしっかりしてるかもしれない。どの子で戦おうかなと思いながら腰にあるボールに触れた。


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